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2020.8.6-4

2020年08月05日 (水) 23:26
2020.8.6-4

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【FINANCIAL TIMES】霧中の巨大IT規制
ウエストコースト・エディター リチャード・ウォーターズ
日本経済新聞 朝刊 オピニオン(6ページ)
2020/8/5 2:00

 米巨大IT(情報技術)企業の独占問題を調査する米議会下院の公聴会が7月29日開かれ、グーグルなど4社のトップが出席した。結論から言おう。経営トップは、デジタル産業の競争環境を自社が有利になるためにはゆがめていない、とする自らの主張を納得させることはできなかった。
 なかでも、議会の公聴会に初めて参加した米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は完全に不意を突かれた。同社の従業員が本来パートナーであるはずの独立系業者のデータを不正に利用しているかどうかは分からないことを認めた。一部の社員が広告収入を増やすために意図的に模造品を宣伝したかもしれないことは「言語道断だ」と言い切ったが、アマゾンが何の説明もなく、とある小さな独立系書店を排除したことには心底当惑しているようだった。アマゾンの強力なプラットフォームで生計を立てている人が、必ず公正に扱ってもらえると安心できる材料にはならなかった。

 

 過去に公聴会に出席した経験があるアップル、アルファベット、フェイスブックのCEOは、ベゾス氏よりうまく下院司法委員会の批判をかわし、面白みのないきまり文句でまとめることができた。それでも、彼らは言葉を濁し、弁解しているような印象を与えた。公聴会を政治的な点数稼ぎのために利用したがる少数派の共和党議員が邪魔するなか、攻勢に出た民主党議員は、不利な状況で質疑を展開しなければならなかった。複雑な問題について一握りの有力企業を同時に相手にしなければいけないという課題もあるなか、思いのほか効果的に巨大ITを責め立てることができた。

◇◇

 最も攻撃にさらされたのはフェイスブックだった。同社の社内文書から、マーク・ザッカーバーグCEOが企業買収を競合相手になりうる企業を無力化する効果的な手段とみなしていることが明らかになった。フェイスブックからの買収提案を拒んだ場合、ザッカーバーグ氏が「徹底的に破壊する」手段に訴えるかもしれないとスタートアップ企業が恐れていたことも白日の下にさらされた。

◇◇

政治家は130万件の社内文書をかき集めた。ただ、最も強烈な証拠がこの程度だったのであれば、巨大ITはあまり心配する必要はないだろう。

◇◇

 巨大ITを改めて攻撃する意欲がEUにどれだけあるかはまた別の問題だ。アイルランドでは、税務上の地位をめぐってアップルが巨額の罰金を科せられていたが、控訴が成功し、追徴課税の指示が取り消された。これにより欧州委員会のベステアー上級副委員長(競争政策担当)の評判は落ち、同氏の攻撃的な手法が疑問視されている。

 対照的に、米司法省はグーグルの告訴をもって道筋をつくろうとしている。実現すれば、20年以上前にマイクロソフトを相手にして以来、最も重要なIT関連の訴訟となる。バー司法長官が率いる司法省は、都市の犯罪対策強化に連邦職員を派遣するなど、トランプ大統領の問題がある政策を一部支持したことで民主党を敵に回したが、巨大ITの規制については党派を超えて意見をまとめられるかもしれない。

 バー氏にとって、現行の反トラスト法(独占禁止法)でグーグルの独禁法違反を立件できれば、大企業を相手に現行法を改正、強化する必要はないという保守派の主張を強調する格好の機会になる。大統領選に向けて民主党候補のバイデン前副大統領が世論調査ではっきりと優勢に立っているだけに、グーグルの立件でリスクを冒しても失うものはない。

 一方、民主党は巨大ITに縛りをかけたいのであれば、今回の公聴会が励みになるだろう。だが、バイデン氏がもし当選したとしても、歴史的な規模の公衆衛生・経済危機をはじめ、巨大ITの規制よりもはるかに差し迫った問題に直面する。有権者の間では、気候変動はもちろん、社会正義や人種間の不平等といったより大きい問題に取り組むべきだという思いが強まっている。

 投稿や検索で各社のサイトを利用し、その携帯電話を買い、オンラインモールで買い物をする何十億人もの人にとって、巨大ITは依然、とてつもなく人気が高い。業界に大きな制約をかける政治的な意志がどれくらいあるかは、まだ答えが出ていない。


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