■三箇の勅宣
日蓮大聖人は、「開目抄」の中で、「見宝塔品」の経文に照らし、御自身が「末法の法華経の行者」であることを証明されました。
そこで挙げられているのが「三箇の勅宣」です。これは、法華経の会座に列席している菩薩たちに、釈尊が滅後の弘通を3回にわたって勧めている箇所になります。
まず第1の勅宣は、「付属有在(付属して在ること有らしめん)」(法華経386ページ)です。
滅後の娑婆世界で法華経を弘める者に「付属」することを宣言し、弘通の誓いの言葉を述べるように呼び掛けたことです。付属とは、教えを弘めるように託すことです。
第2の勅宣は、十方の諸仏が集まって虚空会の儀式が行われたのは、「令法久住(法をして久しく住せしめん)」(同387ページ)のためであることを示し、弘通の誓いを述べるように呼び掛けたことです。
第3の勅宣は「六難九易」を説き(同390ページ以下)、滅後の弘通が難事中の難事であることを示して、大願を起こして滅後弘通の誓いの言葉を述べるように、菩薩たちに命じたことです。
大聖人は立宗に当たり、「六難九易」の経文に照らして、「今度・強盛の菩提心を・をこして退転せじと願じぬ」(御書200ページ)と誓願を立てられました。あえて滅後の弘通が困難であることが説かれているのは、不退の決意でそれらを乗り越えていく生き方を呼び掛けられているからにほかなりません。