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【NAR Opinion】英のファーウェイ排除が招くリスク
英フィナンシャル・タイムズ前編集長
ライオネル・バーバー氏
英政府は、次世代通信規格「5G」から中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)を2027年までに排除することを決めた。気まぐれな米国とますます影響力を強める中国のはざまで、他の欧州諸国などと同様、板挟みになっている現実が浮き彫りになった。
英の方向転換は、トランプ米政権からの執拗な圧力と、香港の締め付け強化をはじめとする中国の振る舞いを受けてのことだった。中国との関係見直しに入っている国々は、習近平(シー・ジンピン)国家主席率いる中国が技術覇権を目指し、ウイグル族を弾圧し、東アジアの近隣諸国への圧力を強めていることなどに不安感を抱いている。
今回の排除により、英国では5Gの導入が最大3年遅れ、20億ポンド(約2700億円)のコストをもたらすという試算がある。さらに国際的な人権侵害事件の加害者に独自の制裁を科す新制度を、香港の弾圧などに加担した中国人にまで発動すれば、英中の報復合戦に発展しかねない。中国の劉暁明・駐英大使は、英国が米国に引きずられファーウェイを排除したことにより、中国とのビジネス全般に影響が出るという見解を示した。
中国は、報復措置として特定の品目を狙い撃ちにした過去がある。ノルウェーのノーベル賞委員会が10年、中国の民主化運動の象徴である劉暁波氏に平和賞を授与した際には、ノルウェー産サーモンを輸入制限した。オーストラリアが4月、新型コロナウイルスの発生源などに関して独立した調査を要求したところ、豪産食肉の一部輸入を停止し大麦に80%超の追加関税をかける措置をとった。
英国が狙われそうな輸出品としては、スコッチウイスキーや全体の約20%を中国で販売するジャガー・ランドローバー(JLR)の自動車が挙げられる。英金融大手HSBCホールディングスやスタンダードチャータード銀行は中国市場を頼りにするものの、中国政府が6月末に施行した、香港の統制を強める「香港国家安全維持法」支持の立場を示してはいる。
ジョンソン政権は当面、世論の流れに沿って進む以外に道はなさそうだが、中国との正面衝突は回避すべきだ。まともにやりあっても勝ち目はなく、できるだけ痛手を被らないようにするのが最善の選択だろう。
英中関係は特定の業界や企業にとどまらない。英国の大学にとって、中国人留学生からの学費は貴重な収入源だろう。金融センターを巡っては、ロンドンの金融街シティーがオフショア人民元取引やグリーンファイナンスなどを通じ、上海証券取引所との結びつきを強めたいと願っている。だが現状では、いずれも報復合戦によって関係が失われてしまうかもしれない。
☆弱いな〜?