〈東京富士美術館 フラワー展から〉
人生を潤す花の輝き?
メアリー・カサット「団扇を持つバラ色の服の女」
1889年頃 パステル、紙 59.8×49.5センチ 東京富士美術館蔵
柔らかい質感の黄色と桃色の花は光を放つかのよう。大胆な青の背景がそれを引き立てる。
メアリー・カサットは、19世紀後半から20世紀初期に活躍したアメリカ出身の女性画家。男性優位の世界で実績を積み、母子像で好評を博した。本作で用いられたパステルの画法は印象派の巨匠ドガから教わり、カサットの代名詞に。平面的な表現や右手のうちわには、当時フランスで流行していた日本の美術様式の影響が見られる。
制作期は、彼女が新たな画風の確立に挑んだ時期と重なる。独特の構図や色彩の妙からも、彼女の前進への息吹を感じられよう。