◎池田大作研究/佐藤優氏(第29回)
『信仰が砦となった検察の精神的拷問』
1957年の参院選大阪補選に絡む選挙違反事件で逮捕された池田
取り調べを行った検札は、池田に精神的な揺さぶりをかけた
この取り調べに動じなかったのは、強い信仰心があったからだ
警察も検察も、池田の意志力が強固で、論争に強いことは、内定操作でよくわかっていたはずだ。池田を「落とす」ことは、警察による通常の取り調べにでは難しいので、政治家、高級官僚や知能犯の取り調べに長けた検察が担当することになったのだと思う。
「佐藤さん、私は検察官のときに先輩から『事実を曲げてでも真実を追及せよ』と教えられました。検察の筋読みが真実で、それに合った詳述をとれる検察官が有能とされます。上司は、『あいつ(被疑者)はまだ自動販売機になっていないのか』と尋ねます。自動販売機とは、検察官の望むとおりの供述をする人を差します」
「ああ、私だよ。すぐに大東商工の手入れの準備をしてくれ。それから、大東商工の社長に、一切の帳簿を提出するように言うんだ。大至急だ」
「山本? 私は、やると言ったら必ずやる。 なめていると、とんでもないことになるぞ?」
この検事の言葉は、伸一の胸に、深く突き刺さった。
このときから、彼の獄中での煩悶が始まったのである。