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2020.7.21-4

2020年07月20日 (月) 15:54
2020.7.21-

【十選】音楽を創った絵画(3)
ラファエロ「聖母の結婚」
音楽プロデューサー 松田亜有子

 1日14時間にも及ぶ練習に裏打ちされた圧倒的な才能で、74年間の生を全うしたフランツ・リスト。幼少時からピアノの演奏で聴衆を熱狂させ、ベートーヴェンが感極まって壇上に登り、キスをしたという逸話まで残っている。

 彼が活躍した19世紀のパリでは、ショパン、バルザック、スタンダール、ドラクロワなど、名だたる芸術家たちが、上流階級の夫人主催のサロンに参加していた。

 当時21歳のリストも例外ではなく、社交界の女王マリー・ダグー伯爵夫人と恋仲に。愛の逃避行の途上で滞在したイタリアで、リストはさまざまな芸術に触れることになる。

 リストの興奮は相当なもので、ベルリオーズへの手紙には、ルネサンス芸術に出合った衝撃、そのことによって、これまで以上にモーツァルトとベートーヴェンを理解できるようになったことが、情熱を持って綴(つづ)られていたそうだ。

 そのため、ラファエロの「聖母マリア」からインスピレーションを受けた「婚礼」を含む曲集「巡礼の年 第2年『イタリア』」は、イタリア滞在の感動が色濃く反映されている。

 イタリアで深い愛と祈りに出合ったリストは、その後も浮世に名を流したが、後年、聖職者となり、信仰に身を捧(ささ)げることになる。(1504年、油彩、板、170×118センチ、ブレラ美術館蔵)


《第2年:イタリア》(Deuxième année: Italie, S.161)は1838年より作曲が開始され、1858年に出版された(ただし第3曲を除いて1839年にはほぼ完成していたようである)。マリーを伴ってイタリアを旅し、絵画や文学など数々の芸術に触れた印象を音楽としてしたためたものである。


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