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◎未来に輝く知性の宝冠――池田先生の名誉学術称号45周年
トルコ アンカラ大学
東西が出会う十字路
1992年6月、池田先生は首都アンカラに到着したその足で、「アタチュルク廟」を訪問。「建国の父」の生涯をしのび、献花した
1992年6月の、先生のトルコ訪問の折だった。
トルコ革命で共和国の樹立(23年)を導き、「アタ(父なる)チュルク(トルコ人)」、すなわち「建国の父」との称号を与えられた初代大統領は、今なお、国民の敬愛を集める指導者である。
アンカラ大学「名誉社会科学博士号」の学位記が、セリーン総長(前列右)から池田先生に贈られた。この後、先生は、「文明の揺籃から新しきシルクロードを」と題して記念講演。ケマル・アタチュルク初代大統領の人間像を通して、人と文化を結ぶ教育の役割などについて語った(1992年6月、同大学で)
アジア大陸の西の端、ヨーロッパ大陸の東の端に位置するトルコ。東西が出あう「十字路」のこの地は、いにしえより、古代ギリシャ・ローマ、ビザンチン帝国、セルジューク朝……幾多の民族と文明の、治乱興亡の舞台となった。
15世紀以降に一大勢力を誇ったオスマン帝国は、トルコを中心に文化絢爛たるイスラム世界を築いた。20世紀初頭、その帝国が第1次世界大戦で敗れると、トルコは列強による分割の危機に陥った。
その時、立ち上がったのがケマル・パシャ(後のアタチュルク)であった。彼が率いた革命によって、トルコは共和国として独立を果たしたのである。
最も特筆すべきは、イスラム国家としては異例の、政教分離に踏み切ったことである。さらに、アラビア文字に代えてローマ字表記を採用した「文字革命」や女性参政権の実施など、今日の近代国家としての基礎は、彼の時代に築かれた。
「偉大なる運動はすべてその根を人民の心の底深くおろすべきである」(ブノアメシャン著『灰色の狼 ムスタファ・ケマル』牟田口義郎訳、筑摩書房)
「『道』を私はつくっている。『道』さえあれば、次の世代、また次の世代の人たちが通っていけるからだ。ひとつの道は、他の道ともつながり、交差し、縦横に地球を包んでいく。時とともに広がっていく。私は、その未来を信じ、後に続く人々を信じて、毎日、丁寧に、命を打ち込んで、『平和の道』を切り開いているのです」
トルコには「一つのパンがあれば、半分は貧しい人に分かち合う」という言葉がありますが、これはイスラムの知恵と教えであるのみならず、トルコ国民の知恵であり、国民性でもあります。
これまで大学では、「技術」の開発には力を入れてきましたが、その技術を用いる「知恵」の開発は軽視されてきたと言わざるをえません。
人類の未来を決する、環境や資源や戦争の問題を解決していくためには、極限にまで高められた技術を「何のため」に使うのかという、「賢明な知恵」の獲得こそが必要なのです。つまり、苦しむ民衆の心が分かる学生でなければならないのです。そのために私は、人類にとって最も重要な哲学者であり人間主義者である池田博士に学び続けていきたいと考えているのです。(本紙2012年9月30日付)