◎倉田・防衛大学教授
敵基地攻撃は、敵地攻撃ではない。敵基地攻撃は、攻撃的な手段をとっても、敵の攻撃を無力化するという目的では、ミサイル攻撃と同様、拒否的抑止に属する。そうだとすれば、敵基地攻撃は、敵が武力行使に踏み込んで抑止が失敗した際には、損害を限定する手段に転じる。
☆「拒否的抑止」とは
相手の攻撃を物理的に阻止する防衛力を高め、相手の目的達成を拒否する能力を整えることで、相手に行動を思いとどまらせることを「拒否的抑止」という。 報復能力を示すことで、相手に攻撃を思いとどまらせる「懲罰的抑止」と並び、「抑止」の中核となる概念だ。