◎【The Economist】トランプ氏の対中批判は本物か
ただ、トランプ氏のその取り組みは就任当初から本気とは思えない言動や矛盾に満ちており、どうみても彼にとっては自滅行為ばかりだった。
トランプ氏が習氏に、100万人ものウイグル族を収容施設に拘束するのは「全く正しい」としたのは一度だけではない(トランプ氏が習氏に「あなたは中国史上最も偉大な指導者だ」とこびをうる姿は、見る者には極めて恥ずかしいものだった)。
米国の同盟国はこうしたトランプ氏の一貫性のない行動に「落胆、混乱した」が、中国は勇気づけられたようだ。
トランプ氏の対中姿勢でいいことが言えるとしたら、もっとひどい事態には至らずにすんだという点だ。米中関係は冷え込んでいるが、多くの人が恐れたほどは悪化せず、一定の関係は維持している。それは、中国が最も神経をとがらせている戦略上の問題にトランプ氏の関心がほぼないことが間違いなく助けとなっている。同氏が再選を果たしたら、台湾を「見捨てる」ことは十分あり得るとボルトン氏はみている。
トランプ氏の対中姿勢でいい点があったとすれば、その第3は中国との対決姿勢を鮮明にすべきだとする民主・共和両党の熱意に陰りがない中で、中国にどう対応してはならないかという反面教師になってくれた点だ。トランプ氏の支持率が下がるほど、政治家はその教訓を生かしつつある。