◎「パクス・シニカ」
欧米、日本を「ミステリー」
カーネギー財団モスクワセンターのガブエフ上席研究員
「不安を抱える指導者の間で中国の社会統制や監視モデルへの需要が膨らんでいる」
ロシアでは、中国の勢力圏の中での平和を意味する「パクス・シニカ」を巡る議論が活発に。
米中覇権争いが鮮明になり、世界は二極化が進む………
ロシア「将来、内政で深刻な試練に直面した場合、政権の生き残り策は中国に保護を求めること」と言い切る。
コロナ禍の先に「民主陣営」対「強権陣営」
☆パクス・シニカ(ラテン語: Pax Sinica)
中国の覇権(=中華文明の影響力)により維持された東アジア地域の平和状態、あるいは中国国内の平和状態。パクスロマーナやパクスブリタニカ、パクスアメリカーナと違って世界全域の平和が保たれた訳ではなく、上記3つの使い方と混合するのは間違えである。後者としては西周、前漢、後漢、唐、明、清の時代にあたる。これらの時代は政治的、経済的、軍事的、文化的な周辺諸国の中華文明の模倣に特徴付けられる。
◎将来、日本が「パックス・シニカ=中国の平和」
に呑まれるヤバイ可能性
元外務省情報調査局長が36年前に警告
佐藤 優
〈近代まで日本の周辺にこれだけの安定をもたらしたのは、単に地理的環境だけでなく、中華帝国を中心とする東アジアの国際秩序であったといえます。
パックス・シニカという言葉(シナの優越で平和が保たれている状態)はあまり使われませんが、これが有効にはたらいて日本や朝鮮半島の平和が維持された期間は、パックス・ロマーナやパックス・ブリタニカが有効だった期間よりはるかに長く、かつ安定したものだったといえます。
パックス・シニカの第一の条件は中国の圧倒的な優越です。国土人口の大きさ、歴史の長さからくる文化水準、政治力、経済力、軍事力は周辺諸国の比肩を許しません。中国の優越は議論を許さないところでありまして、これを知らなかっただけで、漢に併合された夜郎国のように、後世まで「夜郎自大」と言われて無知と思い上がりの手本として歴史に名を留めることになります。
第二は、中国特有の宗主藩属関係で、(中略)一般的にいって中国は周辺の諸民族に対しておおむね宗主権を要求するに留り、中国の脅威とならないかぎりはあえて征服しようとしないという傾向があるといえます〉
日米同盟が弱体化すると日本が中華帝国の勢力圏に含まれてしまうことになるのを岡崎氏は何よりも恐れていた。
●やろう やらう 【夜郎】
中国、漢代の西南夷の一。現在の貴州省方面に農耕集落を営んだ非漢民族。前漢の武帝が平定して郡県を置き、夜郎王などを冊封(さくほう)した。