◎「太陽の沈まぬ国」が沈むとき
●抵抗勢力の出現とオランダの氾濫
複式簿記は脅威にもなりうる。国王の資産内容を完璧に把握する者は、ある意味で国王以上の力を持つことになるのだ。
●無敵艦隊の敗北という悪夢
フェリペ二世の野心と愚行が会計改革の意欲を上回った。一五八八年にスペインは、ヨーロッパ最大の悲惨な海戦に乗り出してしまう――アルマダの海戦である。
●帳簿で社会と政治を変えるために
セロルサノ『商人および他の人々のための帳簿と会計手引書』
フェリペ二世への献辞の中で、複式簿記は商人だけでなく「王族や諸侯」など国政にたずさわる人々にとっても必須であるとトレグロサは述べている。だからこの本は、正義による統治を望む王にこそふさわしいと誇らかに宣言した。
●改革の失敗とスペイン帝国の没落
オランダ東インド会社の金庫も株主も大いに潤う。言うまでもなく、スペインにとっては大打撃だった。もはや収入を得る道はない。セルバンテスは『ドン・キホーテ』のなかで、スペインの貴族、兵士、学生、年の住人がどれほど貧しいかったかを描いている。
フェリペ2世(Felipe II, 1527年5月21日 - 1598年9月13日)
ハプスブルク家のカスティーリャ王国・アラゴン王国(=スペイン)の国王(在位:1556年 - 1598年)。イングランド女王メアリー1世と結婚期間中、共同統治者としてイングランド王フィリップ1世(Philip I)の称号を有していた。また1580年からは、フィリペ1世(Filipe)としてポルトガル国王も兼ねた。
アルマダの海戦(アルマダのかいせん)
アルマダ戦争(アルマダせんそう、英語: Battle of Armada, Armada Wars)
スペイン無敵艦隊(英語: Spanish Armada、スペイン語: Grande y Felicísima Armada)のイングランド侵攻において、1588年7月から8月(旧暦7月)に英仏海峡で行われた諸海戦の総称である。
ミゲル・デ・セルバンテス・サアベドラ
(Miguel de Cervantes Saavedra, 1547年9月29日 アルカラ・デ・エナーレス - 1616年4月23日、マドリード)
近世スペインの作家で、『ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』(Don Quijote de la Mancha)の著者として著名。