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2020.4.28-2

2020年04月28日 (火) 00:30
2020.4.28-

◎米・経済学者・ジョセフ・スティグリッツ氏
『対コロナの 小さな政府の限界』
〜新自由主義は過ち。貧富格差が健康格差として露骨に〜

ひと月以上、人との接触を避け、自宅に籠っています。
この間、ニューヨークでコロナ禍が劇的に広がり、多くの命が失われている。健康に優れない人、貧しい人に対して特に過酷です。

公的医療保険が整っていないからです。米国は健康を手にする権利を明確な基本的人権として認めていない例外的な先進国です。

トランプ大統領は………警告に耳を貸さず、対策を講じなかった。重大な過ちです。避けられた死は多くあったはずです。

………米疾病対策センターの予算を削り………オバマ前政権によって国家安全保障会議に設けられた疾病対策部局を解体した。

世界一豊かな米国ですが、コロナ禍で露呈したのは医療現場に人工呼吸器・防護服・マスク・検査薬などの必需品が欠落しているというみじめな現実でした。

政権はGDPのほぼ1割に当たる2兆2000ドルもの巨額支出を決めるなど、経済対策に乗り出しています。

ただ、不十分です。
第一は、有給の病気休暇を導入しましたが、従業員500人以上の大企業も対象外としたこと。………え??(私)
結局、労働者の約8割が除外された。大企業優遇の表れです。

第二は、コロナ禍対策の最前線に立つ州政府・地方政府への支援が不足していること。

第3に、学生を含む負債を抱える人々を窮地に陥らせないための措置が講じられていないこと。

米国が右往左往しているのは、政府を弱くし過ぎたからです。
その起点は1980年のレーガン大統領の登場。英国は前年にサッチャー首相が誕生していた。

両者は「経済運営で問題な政府、解決は市場」と主張。
つまり「小さな政府」。市場の規制を外し、大企業を優遇すれば、経済は活性化し、経済規模が拡大し、全体の暮らし向きが良くなるという理屈です。
この路線は今日まで続き、トランプ大統領の出現に至るのです。

全くの過ちです。新自由主義の名の下に富裕層が強欲な利己主義を発揮しただけです。米国のの最上位0.1%は、今日、全米の総資産の約20%を持っています。しかも、この間に拡大した経済規模は、第二次大戦直後からの三十数年間の3分の2でしかないのです。

18世紀までの数百年間、人類の生活水準はおおむね一定でした。

米国の発展の根幹にあったのは科学を重視する精神です。

トランプ氏は科学に信を置かず、コロナ禍への対処を誤りました。ただ、これは同氏が特殊なのではなく、科学を軽視し、科学費の削減を主張する右翼思想が台頭してきていることの反映です。

私たちは科学を重視し、政府を重視し、市場のあり方を根本的に見直した、新たな秩序作りに向かうと私は考えます。それは一握りの国や人ではなく皆が富を共有できるような、新たなグローバル化の模索であるはずです。
(2020.4.26読売)


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