◎「租税判決の読み方――近時の注目すべき判決を読む素材に」
2019.9.19 13:00~17:00九州北部税理士会館
? 租税判決を読む時の留意点
………紛争の原因と見方の違いがどこから来るのか。
1)徴収確保と納税者の権利(非居住者源泉徴収義務事件)
一義的でない、立法の趣旨、目的の不明確さ、立法の不備
2)公平性と納税者の権利
a.実質的公平論(IBM事件)
b.形式的公平論(TFK事件 )
3)効率性と納税者の権利(非居住者源泉徴収義務事件)
?取り消し訴訟………民事訴訟と違う。
「適法」か「違法」か
?判決は法律とは決定的に違う
裁判官は国民の代表としてではなく「公平性」
?紛争を解決するために裁判所の判断
?「法の個別的妥当性」
?軽減行為に体する不快感、不公平観
武富士事件
ガーンジー島事件
☆道徳的・法律的には問題ある。しかし………
生活上の住所は香港だけど仕事の住所は日本にある………?
いくらなんでも………あなたどこで生活していますか
税は制裁ではない
→法改正:5年→10年
三段論法
アリストテレスは人である
人は必ず死ぬ
したがって彼は死ぬ
? IBM事件
外国法人(W社)<同族会社>
→原告(納税者):日本IBM社株を100で購入
(100に対してみなし配当が30)
△30→譲渡損失400億円!!?
一審・二審共に納税者勝訴
「独立当事者間の通常の取引先」と異なっている場合を含むと解するのが相当
ヤフー判決(最高裁28.2.29)
税負担の軽減のみに税法をうまく使う
「各規定を租税回避の手段として濫用することにより法人税の負担を減少させるもの」
「組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図したもの」
「本来の趣旨を」
税負担を逃れるために買いたくもない会社を買ったんだろう
☆法律の文言は極めて抽象的!
? 競馬所得横浜事件
はずれ馬券を引くことができるか
一時所得か雑所得か
国)一時所得………勝ち馬の分しか引けません
競馬の買い目を予想するコンピュータプログラム
納税者………事業所得
税務署………いや一時所得です
「安定して継続して儲けてないではないか」
損したり儲けたり、むしろほとんど損している
『事業』とは、
対価を得て継続的継続的に行う事業
「安定して就役を得られる可能性ががなければならない」
「対価性基準」
「総合考慮する」
? TFK事件(旧武富士事件)『前期損益修正』
H18 膨大なな過払金支払………業績が悪化して清算会社に
10年間に遡って
10年間の累積所得金額9兆2,000億円
国に納付した法人税8,000億円
そのうち過払金返金分2,400億円返せ??
………本来はサラ金の借り手に返すべき利益でないことになる。
………「いえいえこれは前期損益修正でその時の損失です」
………最高裁まで
そもそも 『前期損益修正』は法律なんですか
通達にしかない………
継続企業を前提
そこまでしなくては
………継続的企業でなくなった場合はどうするか
「当初申告は適法ですか誤りですか?」
? 交際費該当性をめぐる裁判例
リゾートホテル「感謝の集い」
「専ら従業員の慰安のための運動会・演芸会・旅行等」
『事業に関係のある者等が含まれる』
………冗費(じょうひ)・濫費抑制等の目的に反しない限り
………通常要する費用
「この行事の目的は何か」
「この支出の目的は何か」
………違う場合もある
「従業員に非日常的な体験をしてもらう」
「非日常的」にしては多額だから税務署は問題にする
状況によっては、交際費or福利厚生費
冗費・濫費を課税でコントロール