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諌暁八幡抄

2016年04月19日 (火) 17:01

創価教学研究室(赤鬼のブログ)

7月5

諌暁八幡抄 第四章 謗法責めぬ氏神を梵釈が治罰2013/07/05 06:38

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第四章 謗法責めぬ氏神を梵釈が治罰

06   今日本国を案ずるに代始まりて已に久しく成りぬ 旧き守護の善神は定めて福も尽き寿も減じ威光勢力も衰えぬ
07 らん、仏法の味をなめてこそ威光勢力も増長すべきに 仏法の味は皆たがひぬ 齢はたけぬ争でか国の災を払い氏子
08 をも守護すべき、 其の上謗法の国にて候を氏神なればとて大科をいましめずして 守護し候へば仏前の起請を毀る
09 神なり、 しかれども氏子なれば愛子の失のやうに・すてずして守護し給いぬる程に 法華経の行者をあだむ国主・
10 国人等を対治を加えずして守護する失に依りて 梵釈等のためには八幡等は罰せられ給いぬるか 此事は一大事なり
11 秘すべし秘すべし、有る経の中に仏・此の世界と他方の世界との梵釈・日月・四天・竜神等を集めて我が正像末の持
12 戒・破戒・無戒等の弟子等を第六天の魔王・悪鬼神等が人王・人民等の身に入りて悩乱せんを見乍ら聞き乍ら治罰せ
13 ずして須臾もすごすならば必ず梵釈等の使をして 四天王に仰せつけて治罰を加うべし、 若し氏神・治罰を加えず
14 ば梵釈・四天等も守護神に治罰を加うべし梵釈又かくのごとし、 梵釈等は必ず此の世界の梵釈・日月・四天等を治
15 罰すべし、 若し然らずんば三世の諸仏の出世に漏れ永く梵釈等の位を失いて 無間大城に沈むべしと釈迦多宝十方
16 の諸仏の御前にして起請を書き置れたり。

 今、日本国を考えてみるに、代が始まってから既に久しい時が経った。昔から守護の善神は、きっと福運も尽き、寿命も減ち、威光勢力も衰えているであろう。
 仏法の法味をなめてこそ威光勢力も増長するのに、仏法の法味は皆、違ったものとなってしまっている。歳はとってしまった。どうして、国の災いをはらい、氏子を守護することができようか。
 そのうえ、謗法の国であるのを、氏神だからといって大罪を戒めずに守護したので、仏前の誓いを破る神となったのである。
 そもそも氏子なので愛しい子の過ちのように身捨てずに守護してきたので、法華経の行者を怨む国主や国民等を対治を加えずに守護する罪によって、梵天や帝釈天等から八幡大菩薩は罰せられたのであろうか。このことは一大事であり秘すべきである。秘すべきである。
 ある経のなかに「仏はこの世界と他方の世界の梵天・帝釈天・日天・月天・四天王・竜神等を集めて『我が正法・像法・末法の持戒や破戒・無戒等の弟子等を、第六天の魔王や悪鬼神等が人王や人民等の身に入って悩まし乱すのを、見ながら聞きながら治罰しないで、しばらくの間も過ごすならば必ず梵天・帝釈天等が使いをやって、四天王に命じて治罰を加えよ。もし氏神が治罰を加えないならば、梵天・帝釈天や四天王等も守護神に治罰を加よ』と仰せられたところ、他方の世界の梵天・帝釈天も同じく『必ず、この世界の梵天・帝釈天や日天・月天や四天等を治罰するであろう。もし、そうでなければ、三世の諸仏の出世に生まれ合うこともなく、永く梵天・釈釈天等の位を失って無間大城に沈むであろう』と釈迦仏・多宝仏・十方の諸仏の御前で誓いを書き置かれた」とある。

 謗法の国と化した日本を諸天善神が戒めないのは、仏前の誓いを破ることであり、それゆえに八幡等の氏神は梵天・帝釈・四天王等によって治罰を被っているのであると述べられている。すなわち、古代から国を守護する八幡等の善神は、既に福も尽き、寿命も減り、威光勢力も衰えてきている。
 しかも、善神の活力源たる法味を与える仏法は、ことごとく邪宗邪義と化しているため、守護する力を失っているのであるが、氏子であるということから、謗法を犯している日本国の人々を八幡は守ろうとしている。このため、梵天・帝釈等の治罰を受けたのであると言われている。
 「此事は一大事なり秘すべし秘すべし」と仰せられているのは、神といえども仏法には従わなければならないことを示されているのであるが、八幡といえば、当時の武士にとって最も尊崇された神であるから、このように公言すると、必ず門下に大きな弾圧が加えられることを配慮されたのであろう。
諸天善神について
 本抄で八幡大菩薩を氏神と呼ばれている。「氏神」とは他縁あるいは血縁集団が信仰する神のことであるが、もとは氏族による一族一門の先祖や英雄などを祀ったものである。「氏子」は氏神の子孫、また転じて同じ氏神を祀る人々をいう。
 八幡大菩薩はもともと農耕神とされ、豊前国宇佐に祀られていた。
 奈良時代の東大寺造立の時、宇佐付近で銅を産したことから、大仏造立を助けたとされ、奈良の手向山に祀られ、以来、仏教との関係を深め、また国家的神格として広い信仰を集めるようになり、託宣神としても知られるようになった。
 平安時代初期には、朝廷から大菩薩号を贈られ、神仏習合の先駆となった。その結果、僧形八幡像なども造られた。
 貞観元年(0859)に、行教という人により、山城国石清水に勧請されたところから、京都守護神として崇拝され、応身天皇の本地が八幡大菩薩であるとの説が広まった。
 その後、清和源氏などから氏神として崇められ、特に源氏の信仰を集めたことから、武神的性格を帯び、武士の守護神として弓矢八幡などが造られた。
 源頼義は京都の石清水八幡宮の分霊を鎌倉の由比郷に迎えて神社を建て、それを源頼朝が鎌倉鶴岡の現在地に移し鎌倉幕府の守護神として崇められた。
 以上のように八幡が日本国の氏神であるのに対して、この世界全体を統括し、善を守り悪を挫く神が梵天・帝釈・四天王等である。
 梵天とは大梵天王のことで、色界の初禅天に住し、娑婆世界を統括する主神とされる。梵とは清浄、寂浄、浄行の義である。
 帝釈は釈提垣因、天帝釈ともいい、世界の中心とされる須弥山の山頂、喜見城に住み、四天王を従えて、三十三天を統領しているといわれる。
 インド神話では最高神とされ、もともとは雷電の威力のすさまじさを擬人化したのが帝釈天の原形である。
 梵天・帝釈は諸天善神の代表であり、仏の説法のときは仏の左右に列なり、法を守護する。
 四天王とは、須弥山の四面の中腹にある四天王の主で、持国天・広目天・毘沙門天・増長天のことである。それぞれ一天下を守ることから、護世四王ともいい、帝釈天の外将である。
 持国天は治国天ともいい、東方を守護する。他の西南北の三州を兼ねて守護するので持国という。また「安民」の名もあり、文字どおり国土を平和に治め、民を安穏に守護する働きである。
 広目天は、西方を守護し、浄天眼をもって常に衆生を観察している。悪を見破り、悪人を懲らして仏心を起こさせる。
 毘沙門天は多聞天ともいい、北方を守護する。財宝富貴を司って、その力で仏法を守護する。また、常に仏の説法を聞き、仏の道場、法座を守ることから多聞天の名がある。
 増長天は南方を守護し、衆生の所業の善悪を検討し、帝釈天に報告する。また増長とは免離の意味で、煩悩や不幸を近づけない働きとされている。
 すなわち、梵天・帝釈・四天王のほうが天照大神や八幡よりはるかに上位にある諸天善神であり、八幡等が氏子への愛着から「愛子の失のやうに」謗法の大罪を罰しない場合は、八幡等は梵天・帝釈・四天王等によって治罰を受けなければならない、とされるのである。
 同様に「有る経の中に」として、この娑婆世界の梵天・帝釈等が謗法の衆生を罰しなければ、他の世界の梵天等から治罰を被ることになる。
 そして、梵天・帝釈等は、正法を守り、謗法を罰するという責務をはたさなければ「三世の諸仏の出世に漏れ」て“法味”を味わうことができなくなり、諸天の位を失って「無間大城に沈む」ことになるのである。
 言い換えると、諸天は天界の衆生としての寿命を持っているのであるが、正法守護の責任をないがしろにした場合は、その寿命を失い、ちょうど我々人間が人界の寿命が終わると、謗法の罪があれば無間地獄に堕ちなければならないように、彼ら天界の衆生も無間地獄に沈まなければならないのである。

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