本当に面白く、痛快で、最後は感動しました。戸田先生の人間革命上巻をマイblogに記録に残しました。宜しくご指導ください。
??『発芽』 ?(埋火(うずみび))
◎妻のおつやに折伏されて怒る巌さん
月が冴えかえっている。
三十三歳の時に酒と遊びの味を覚え……世間への不義理も重ね、借財も嵩み、今は貧乏のドン底で心も荒み切っているのだった。
「あなた! どんなに焦っても駄目なのよ。心を決めて、大善をしなくては……」
「な、なに、大膳…………」
「ほ、ほ、ほほほ……あなた、その、お膳じゃないわよ……」
「どうしても、あなたが反対なら、あたしはお暇をいただきます! 貞一をつれて、この家を出て行きます!……」
「その、大嘘吐(つ)き野郎の、牧口って奴は、一体どこに住んでるんだ!……おれが行って、問答して、化(ばけ)の皮を剥(は)いでやる!……」
??(山茶花)
?◎牧口先生に怒鳴り込みに行って折伏されてしまう巌さん
「巌九十翁(がんくつお)というものですが、柴田さんの紹介できました」
「この世の多くの人々に、幸福になる種子……いいかえれば、幸福に必ずなる根元的な生命力を分かち与えることが、最高の善であって、これを大善というのです。この種子を心田に蒔けば、必ず、幸福になる。この幸福の種子を、多くの人々へ贈る生活……これが大善生活で、根本的に運命の転換が行われるのです」
「あなたは卑怯だ!」
「…耳は傾けても聴こうとしていない! ……心が邪(よこしま)で……受入れようともしない。これを悪人というのです!」
???(迷路(まよいじ))
◎巌さんが仏立講の本尊を持ち帰ってしばらく後、家庭内が散々になる
「兄さん、仏立講というのを知っていますか……どう? 一緒に信仰しませんか」
「.……じゃあ、今日、もらって行くよ。……」
?(贋仏(にせぼとけ))
◎柴田による破折と、仏立講の本尊焼却、事態が好転する
(はじめは他人なのに、親兄弟よりも情が濃(こま)やかになる)
?(雨の夜)
◎日蓮正宗の本尊を見直す巌さん
「おれの留守に、勝手な真似をする!」
「よし! 今度は、おれが焼いてやる!」
「酷(ひど)く濡れてるから、ここで、用件だけ話します。巌さん、三友社へ勤めませんか」
「おつや、日蓮正宗の御本尊を、おれも拝ませていただくよ」
『暁』???(口笛男)
◎巌さんの仕事の実証
甘い夢に包まれていた新婚時代の仲のよさと、世の荒波を切抜けてきた今とは較べものにならないと、おつやはいいたくなったが止(や)めてしまった。
?(秋晴れ)
◎巌さんが森田正一を折伏
「正一、おまえに頼みがあるんだが、きいてくれないか」
「……頼みというのは、おれを助けてもらいたいんだ」
「日蓮正宗へ入信すればいいんだ!」
「……ところが、まだ一人も折伏をしていない。……それは、御本尊さまへの御奉公なんだが、おれはしていないんだ」
??(富士山)
◎巌さん、おつや、貞一、森田正一と大石寺参詣
二天門へ向かって、真直(まっすぐ)に登っている石畳の道は、枝垂桜(しだれざくら)がつくっている花傘の美しいトンネル道なのに、それを見物する人の姿が、どこにもない。
「あなた、綺麗ねえ!」
「うむ……」
『向上』???(文字問答)
◎御本尊についての森田正一の疑問と、牧口先生の指導
「……どうも、紙に書いてある文字を拝んで、人間の生活が変わるなんていうのが、分からないんですよ」
「仏法の素人が、少しずつでも経文の意味を知ろうと勉強するのは、誠に結構だが、疑ってかかって、自分の頭で割切れないと承知できない……そういう人であったら、幾年たっても功徳はない。巌さんは純真な奥さんをもらわれて、幸福だね」
「巌さん! あなたの信仰が、御本尊と感応し、かつ、あなたに諦法がなければ、金は入用なだけ出てくる。総本山全体の木の葉は、みな、百円札と化して、あなたに役立つ。しっかり信仰しなさい! 牧口は至らぬ人間だが、大御本尊には絶大な御力が具(そなわ)っている!」
?(座談会)
◎牧口先生を囲んでの座談会。鬼子母神を拝む老婆、おときが登場
「お婆さん、あんたの拝んでいる鬼子母神は、邪鬼といってね、人の生命を食う悪い神なんだ」
「……本当の鬼子母神や十羅刹女というものは、まことの法華経を信ずる者を守るのであって、自分自身を拝む者を守るとはいってない。……」