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村岡花子童話集

2014年12月28日 (日) 15:12
村岡花子童話集

◎利口な小兎
「お前こそよくもよくも俺を騙したな」と言うや否、物凄い勢いで綱を引きました。

◎ナミダさん
「この島から抜け出す道は一つしかありません。笑うんです。笑いさえすれば、池もだんだんに水が引いてきて、わたしたちも逃げられるようになります。ですけど、そうお嬢さんのように泣きつづけていらっしたのじゃ、ご自分の涙で溺れておしまいになりますよ」

◎考えすぎた船頭さん
この人はむやみにたくさんのことをしたがる人で、始終、あれもしなければならない、これもやらなければならないと考えてばっかりおりました。

◎めぐみの雨が降るまで
「私はあなたたちを助けよう。私を下へおろしてください。私は自分の生命(いのち)をあなたたちにあげます!」

◎ポストへ落ちた蝶々
「ううん、大丈夫。今日はどうしたんだか、十銭切手が、一枚だけよけいにはってあるんだ。いつもと同じおもさだのに、女中さんが、なにかまちがったんだろうよ。だから、はずしても、ちょうどいいんだ。君、これがうまくとれるかい?」

◎鈴蘭の花
「この木の上に病気の鳥がいるらしいわ。綺麗なお花を見たいって言ってるから、あたしお見舞いにいってあげたいわ。せいのびして上へ上がっていきましょう。……」

◎森の白うさぎ
「そらごらん。わたしがいったとおりです。人間の子どもは、なかなかたくさん仕事があって、キャラメルばかりしゃぶってはいられません。きれいな絵本を見るのは、学校のおさらいを、よく、してからのことです」

◎果物畑のたからもの
「お父さんがおっしゃったのはこれだった。なるほど、このお金は畑の中にあったのだ。畑の中に金貨の壺がかくしてある、それがほしければ、土を掘れ……そうだ、土を掘れというのはいっしょうけんめいに働けということだったのだ」

◎小松物語
昔の小松、今の大松は嬉しさに涙をポロポロとこぼしました、寒い十二月の朝ですから、その涙はそばから凍って、氷柱(つらら)になりました。ちょうどそのとき、太陽が出まして、氷柱の上に照りましたので、まるでクリスマス木(ツリー)の蝋燭のようにキラキラ光りました。

◎羽根の折れた小鳥
「…わかったか。せかいじゅうで、一番えらいのは、しんせつなことをする者だ、よわい者にいばらずに、やさしくしてやるのが、ほんとうにつよいのだ」

◎みんなよい日
「おやおや、固い握りこぶしだ。これじゃあ仕方ないな。せっかく、おみやげをたくさん持ってきたのだが、こんなに固く握っていては、入れてやることができない。……」

◎動物の相談会
「ああ悪かった、今までほんとうに僕は乱暴だった。カナリアに恥ずかしい。……

◎花の時
他の者はわたしのところに花があるときだけしか訪ねてくれませんが、あの大きい蜂だけは、夏になってすっかり花が落ちてしまってからも、ちょいちょい、寄ってはいろいろのお話を聞かせてくれましたの。

◎春子の夢
「僕たちのことなんて、けっして考えてくれないんだ。僕たちおもちゃに、もし心があったら、どんなに悲しくて、いやな気持ちで、つらいだろうかっていうことなんか、ちっとも考えないんだ」と、熊公はまた言いました。

◎くしゃみの久吉
「はっはっ、はっくしょん……おやっ、ふしぎだなあ……はっはっ、はっくしょん……フ、はっ、シ、くしょん、ギ……はっくしょん」

◎不思議なお面※※※
「よし、いったん自分の心で、いつもやさしい顔をしていようとけっしんしたら、きっとやりとげられるだろう」

◎黒兵衛物語
「でも、黒兵衛は礼儀を知ってましたよ、父さん。夜中に僕んとこへちゃんと“サヨナラ”の挨拶にきましたもの。
美代ちゃん、黒兵衛の万歳を言ってやろうよ」

◎みみずの女王
「あたしのように立派なからだを持ってるみみずは、どこにもいやしない。
お庭から道ばたから、どこからどこまで探したって、あたしほどのきりょうよしは、見つからないわ」

◎夏のサンタクラウス
「雨じゃなかった、雪の玉と氷柱よ、溶けてきたんだわ」……月夜の晩にはいつでも、気をつけてお婆さんを見ようと約束いたしました。

◎さびしいクリスマス
「……お母様はちゃあんとお前たちを上から見ていますから、安心して、いい子になるんですよ。さよなら! また逢いましょうね」

◎謎の犬
人間でも犬でも一番偉いことは何かいい仕事を一生懸命にすることだということをたぶん、ワイリイは知っていたのでございましょう。

◎王様の行列が黒猫から
ひどい目にあったのは黒猫です。その日一日かかっても、まだお腹の皮の穴に、つぎがあてきれませんでしたとさ。

◎たんぽぽの目
「あたし、お歌が大好きなの、お父さん。あたし、大きくなったら、お歌をつくる人になりたいの。なれるでしょうか、どうでしょう」

◎すいれんの村
「すいれんさん、おはよう」
「すいれんさん、おやすみ、また、あしたね」
「星の子どものすんでいるみずうみへいこう、星の子どものきいているところで、そうだんしよう。星の子どもにきいてもらおう」


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