<前提>
相続人:子1人
子は賃貸物件に居住
自宅(約5,000万円)の購入を検討
父:自宅敷地330?1億円、預金2億円
(27年以降の相続を仮定)
一つめは、親の自宅敷地に係る小規模宅地等の評価減特例の適用有無についてです。配偶者も同居親族もいない場合、親の自宅敷地の評価額を80%減額できるのは、その敷地を自己または配偶者ともに持家なしの親族が取得した場合のみです。したがって、子が親からの贈与資金や住宅ローンで自宅を取得していた場合、子は持家ありの親族になり、親の自宅敷地について80%減額はできないこととなります(パターン??)。
パターン(1)子が所得
父→子:住宅取得資金500万円贈与
子:贈与資金+ローン→自宅購入
子の自宅は子が所有
※子:持家あり→小規模特例は不可
【相続税8,955万円】
二つめは、時価と相続税評価額の差についてです。不動産は一般的に時価より相続税評価額の方が低いことが多いため、相続税のかかる親が、子の住む自宅を親の名義で買って子に住まわせてあげると、将来の相続財産について時価と評価額の差の分だけ相続税評価額の減少が期待できます(パターン?)。この場合、子がただで親名義の建物に住んでいても使用貸借といって、税務上の問題は生じません。
パターン(3)父が所有
父が子の自宅を購入
子の自宅は父が所有(評価額3,500万円)
※子:持家なし→小規模特例は受けられる
【相続税5,060万円】
三つめは、贈与税の暦年課税と相続時精算課税についてです。相続時精算課税制度を利用すると、一度に多額の資金を贈与しても贈与税の負担は低いですが、相続時にはその分相続財産に足し戻すことになります(パターン?)。また、この制度は一度選択すると撤回ができず、その後の贈与について相続財産に足し戻すことになるため、生前贈与対策にも大きく影響します(支払った贈与税は相続税から控除するため二重課税にはなりません)。
パターン2子が所得(相続時精算課税制度)
父→子:住宅取得資金3,000万円贈与
(うち500万円非課税枠活用)
相続時精算課税精度を利用
子:贈与資金+ローン→自宅購入
子の自宅は子が所有
※子:持家あり→小規模特例は不可
【相続税8,955万円】
税のしるべ2014.9.22