BEPS とは「Base Erosion and Profit Shifting」の頭文字による略語であり、「税源浸食と 利益移転」の訳語があてがわれている。
もともと BEPS は、2012 年 6 月の OECD 租税委員会本会合において、米国から「税源浸 食と利益移転」が法人税収を著しく喪失させている点を憂慮しているとの問題提起がなされ たことから、OECD においてワーキング・パーティとは別に、「BEPS プロジェクト」とし て開始されたものであり、2013 年 2 月には、「BEPS 報告書」が、同年 7 月には「BEPS 行 動計画」が公表され、非常に早い展開の取組みとなっている。現在「BEPS 行動計画」の 15 のアクションプランに基づいて、OECD を中心に関係諸国においては、2014 年及び 2015 年を目途に具体的な検討が進められている。
本稿では、我が国においても、多国籍企業による所得の創出活動の行われる法的管轄と納 税の行われる法的管轄との不整合を生じさせている税源浸食と利益移転に対しては、現行の 国際課税原則に変更を加えることも視野に入れての検討が進められていくものと思慮される ことから、今後の BEPS の検討に関して必要と思われる事項について考察を行うものである。
(税大ジャーナル編集部)