Q1
当社の給与の計算期間は前月の11日から当月の10日で、支給日は当月の25日です。
従業員Aは、4月11日に当社の海外子会社に3年間の予定で出向するため日本を出国しました。
4月25日は、日本の親会社から本人に送金する予定ですが、源泉徴収はどのように行えばよろしいでしょうか?
3/11
↓ 給与計算期間
4/10 給与締め日
<国内源泉所得>
4/11 <出国> ↓ 居住者
--------------------------------------------
4/12 ↓ 非居住者
4/25 (給与支給日)
御社が4月25日に支払う給与の計算期間は3月11日から4月10日ですので、「国内源泉所得」に該当します。
しかし、給与の支払日4月25日は、従業員Aは
「非居住者」
になりますので、4月25日に支払う給与は
「非居住者に対する給与の支払」
に該当します。
法人が「非居住者に対する給与」を支払う場合には20%の源泉徴収を行う必要があります。
したがいまして、御社が4月25日に従業員Aに給与を支払う際には、
20%(復興特別所得税を含めて20.42%)
を源泉徴収し、翌月10日までに所轄税務署に納税する必要があります。
なお、源泉徴収した金額は、
「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書(納付書)」
を使用して納付します。
また、従業員Aが日本の親会社から受けた上記給与は現地の税金が課税されますが、日本で納めた所得税は「外国税額控除」により現地の税金から原則控除されますので、現地の専門家などにご相談ください。
なお、この4月25日に従業員Aに支払う給与は、出国の際に行われる「年末調整」の対象にはなりませんので、ご注意ください。
Q2
当社の給与の計算期間と支給日は上記と同じです。
従業員Bは、4月1日に当社の海外支店に3年間の予定で転勤するため出国しました。
この場合の源泉徴収はどのように行えばよろしいでしょうか?
3/11
↓給与計算期間
↓ 4/1 <出国> ↓ 居住者
↓ --------------------------------------------
↓ 4/2 ↓ 非居住者
↓
4/10 給与締め日
<国内・国外源泉所得が混在>
4/25 (給与支給日)
御社の従業員Bは、3年間の予定で転勤しましたので、出国の日の翌日、4月2日から日本の「非居住者」になります。
所得税基本通達212ー3
(給与等の計算期間の途中で非居住者となった者の給与)
「給与等の計算期間の途中において居住者から非居住者となった者に支払うその非居住者となった日以降に支給期の到来する当該給与計算期間の給与等のうち、当該計算期間が1月以下であるものについては、その給与等の全額がその者の国内において行った勤務に対応するものである場合を除き、その総額を国内源泉所得に該当しないものとして差し支えない」
御社が4年25日に従業員Bに支払う給与は、「国内源泉所得」と「国外源泉所得」が混在し、かつ、計算期間が1カ月ですので、上記通達に該当し、その全額が
「国外源泉所得」
となるため日本の所得税は課税されません。
また、この給与は、出国の際に行われる「年末調整」の対象には当然なりません。
【税のしるべ5/26】