7 宗教をかいまみる
わたしは、そのピカピカ光った輝きや、ゴテゴテときらびやかな装飾がきらいだった。また、そこでいろいろと不道徳なことが行われているという噂を数々耳にした。
わたしがそこから取りそこなったものを、家に住みついていた、子守の年老いた召使いからもらった。
山羊やお化けーーその恐怖心の妙薬には、何度も「ラーマナマ」を口に唱えるがよい、と教えてくれた。
もちろん、これは、長続きしなかった。しかし子供のときにまかれた良質の種子は、むだに終わるものではない。今日、「ラーマナマ」が、わたしにとって手放せない妙薬になっているのは、あの心のよい婦人、ランバのまいてくれた種子のおかげであると思う。
当時、キリスト教だけが一つの例外であった。わたしはそれに一種の嫌悪の念をいだいた。
ヒンドゥ教やヒンドゥの神たちに悪口を浴びせたものだ。
人に牛肉を食べさせ、アルコールをとらせ、そして自分自身の衣装を変えさせる宗教は、断じてその名に価はしない。
改宗するとすぐ、自分の祖先の宗教、自分の習慣と自分の国をののしり始めた。
一杯の水を与えられなば
山海の珍味をもってこれに報いよ
親しく挨拶されなば
誠心をもって
ひざまずいてこれを受けよ
一銭の施しを受けなば
黄金をもって返せ
一命を救われなば
一命を惜しむなかれ
いかに小さき奉仕であれ
十倍にして報いん
されどまことに心尊き人は
万人を一人と知り
悪に報いるに善をもってし
これを喜ばん
8 イギリス行きの準備
「ここで勉学するより、イギリスへ行かんね」
「わたしが、お子さんに厳粛な誓いを三つ誓わせましょう。それから行くことにしたらよいでしょう」
わたしは酒、女と肉に触れないことを固く誓った。
わたしは喜んでボンベイに出発した。あとに妻と生後二、三ヶ月の赤ん坊を残してであった。
「わたしは実際どうすることもできないのです。わたしは、この問題にカーストは干渉すべきではない、と思います」
9 船中で
なんとしても、わたしは自分の引込み思案が征服できなかった。
一人のイギリス人船客が、わたしに親しくしいてくれて、わたしを会話のなかに引き入れてくれた。
わたしはシラとカリブデイスにはさまれた自分を見いだした。
イギリスにわたしは耐えられなかった。しかしインドに帰ることは、考えもしなかった。やって来たからには、今後三年間を、わたしはやり抜かなければならない、と内なる声は叫ぶのだった。