Contents
RSS 2.0

ブログ blog page

2020.10.8-5

2020年10月07日 (水) 21:32
2020.10.8-

???

公明解説ワイド
新連立政権の課題は何か
政策研究大学院大学・飯尾潤教授に聞く
2020/10/07 4面

 閣僚の顔ぶれを見ても、菅首相とスムーズに意思の疎通が図れ、仕事ができる人を中心に集められている。

 外交面でも、日韓関係を除いて大きな失敗はなく、逆に日本が各国から頼られる場面も多かった。これらの前政権の動きは評価でき、菅首相もこうした手法を踏襲するのだろう。

 その上で、新政権は社会のデジタル化や縦割り行政の打破などを看板政策に掲げ、急ピッチで具体化を急いでいる。これまでにないスピード感を感じる国民も少なくないのではないか。

 ただ、身内ひいきや手続き軽視、官僚などへの強引な人事手法という前政権の負の側面を転換できるかも問われている。

――新政権に求められるものは。

 飯尾 菅首相が打ち出す政策課題は、「携帯電話料金の引き下げ」や「不妊治療の保険適用拡大」など個別・具体的なものが目立つ。もちろん、これらの取り組み自体は、国民の生活を豊かにし、幸福に寄与する上で意義はある。

 ただし、新政権は目の前の仕事を片付けることに集中し過ぎている感じも否めない。つまり、具体的な政策を打ち出してはいるものの、「最終的にどのような社会をめざすのか」といった全体像や目的があまり見えてこないのだ。

 例えば、日本社会のデジタル化の司令塔となる「デジタル庁」の創設は、その意義やめざすところが国民によく伝わっていない。デジタル庁がどのように機能するのかという議論も、今後必要になってこよう。

■幅広い声を謙虚に受け止め真摯な説明で国民の共感を

 ――ポストコロナを見据えて、新政権に必要な政治姿勢とは。

首相1人が「どんな問題も自分が解決してみせる」とリーダーシップを発揮することも大切だが、それだけでは、細かな政策は実現できても、国民の間から自発的かつ斬新な解決法は生まれにくく、結果的に社会全体を大きく変えるのは難しい。

 ポストコロナの時代は、社会経済のあらゆる分野で既存の制度や成功事例が通用しにくくなるだろう。工程表に沿って政策を実行していく手法も限界にきている。時代の変化が激し過ぎて、工程表を作成した時点で前提条件が崩れているからだ。その意味で、将来的には、成長戦略や社会保障のセーフティーネット(安全網)のあり方を抜本的に見直す必要もあるのではないか。

――国民との対話がより大事になるということか。

 飯尾 厳密には、国民に対する真摯な「説明」と、異なる意見も受け入れる「謙虚さ」だ。説明と言っても、立て板に水を流すようなミスのない答弁が求められるわけではない。話が下手でも、自分の言葉で一生懸命に伝えようとする熱意があれば、国民の共感と納得が生まれる。また、謙虚さとは、政策判断を間違えた時には素直に謝り、自身の力が及ばない部分は他人に補ってもらうという姿勢だ。慢心や驕りは断じて排さねばならない。

■公明は率直に意見できる関係築け

 ――新政権発足に先立ち、自公両党は新たな連立政権合意を結び、取り組むべき重要政策を確認した。公明党が果たすべき役割は。

 飯尾 前政権内では、憲法改正など公明党が志向するものとは違った方向性のものも少なくなかった。その点、新政権では自公間で考えが大きく異なるような課題に着手しないので、著しい矛盾を抱えることはないはずだ。公明党の政策の実現性はより高まるであろう。

 ただ、公明党と菅首相との関係が深いだけに、何でも暗黙のうちに配慮し合って、表向き言うべきことも言わないという関係にならないようにしなければならない。つまり、幹部が分かっているだけでなく、一般の国民にも分かるように、政府や自民党に対しては、「おかしいことはおかしい」と率直に意見を述べることも大切だ。

 政権内で国民の政治不信を増長させるような問題が起きた際、厳しく釘を刺せる立場にいるのは公明党だけだ。国民との対話を重視する上でも、公明党が政府や自民党に苦言を呈する役割を果たさねばならない。そして、その姿を国民に分かりやすく示してほしい。

 公明党が政権内でそのような関係を築くことが、政治に対する国民の信頼回復にもつながるであろう。


 いいお・じゅん 1962年生まれ。東京大学法学部卒、同大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。埼玉大学大学院助教授などを経て現職。専門は政治学、現代日本政治論。


トラックバック

トラックバックURI:

コメント

名前: 

ホームページ:

コメント:

画像認証: