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2020.9.27-3

2020年09月26日 (土) 10:15
2020.9.27-

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〈危機の時代を生きる〉
多様な不安を受け止めて、共感を示すことから始める 
新潟青陵大学大学院 碓井真史教授

 今回の感染が流行し始めた頃、ウイルスに関する情報が少なかったこともあり、社会全体が“浮足立っていた”印象があります。マスクやトイレットペーパーを必要以上に買い占めるような過剰な行動は、不安の裏返しであり、一時の安心を得るためのものという側面もありました。
 
●「ゼロリスク」を求めすぎない姿勢も大切

 危機的な状況下では、ある程度の不安は、自分の身を守るために必要です。むしろ、その不安を自分でコントロールできるかどうかが求められます。そのためには、リスクを完全になくす「ゼロリスク」のような在り方を求め過ぎないことが大切でしょう。
  
 そもそも、ウイルスの感染を完全に防ぐことは不可能に近い。身体的距離の確保や3密の回避など、感染リスクを抑える方法は提示されていますが、リスクを完全になくすことは難しいと思われます。

◇◇

 政府の提示する「新しい生活様式」は、義務ではなく、一つの実践例といえます。大切なのはそれぞれが、自他の健康に配慮しつつ、時々の状況に合わせて自らの生活様式を生み出していくことであって、他人に強制し、縛るためのものではありません。
  
 マスクを着用していない人に対するバッシングも問題になりました。着用しない人の中には、心肺や皮膚の疾患など、さまざまな事情で“着用できない”人もいます。また一方では、感染リスクに過敏になって、心身ともに余裕がなくなっている人がいることも理解する必要があります。
  
 いずれにしても、会社や地域には、さまざまな感じ方の人がいるという認識を大事にしてほしい。違う考えを持つ人に対して、責めたりしても何の解決にもなりません。真っ向から否定するのではなく、まずは共感を示すことから始めるのが大切だと思います。
  
●正しさは刻一刻と変化 柔軟に対応する視点が必要

 例えば、「今夜、1時間に100ミリの雨が降る」と発信するだけでは、深刻さが伝わらない可能性がある。相手に伝わる情報でなければ、不安を取り除いたり、リスクへの対応を促したりすることはできません。その意味では、単に「正しい言葉」というより、「伝わる言葉」を使うように心掛けていきたいと思います。
  
 心理学の研究によれば、部屋を散らかした子どもに「お片付けしましょう」と言うより、あえて「散らかして遊ぶのって楽しいね!」と言った方が、子どもはきちんと片付けをするといわれます。たとえ一言であっても、相手の心情や状況を考慮した言葉使いが重要になってきます。
  
 また情報を受け取る側にも注意すべき点があります。災害のような危機的な状況になると、デマ情報が拡散しやすい。ある研究によると、それらは2種類に大別されます。一つは「恐怖デマ」です。「こんな恐ろしいことが起きている」「今後、もっと恐ろしいことが起きる」といった情報は、もし本当であれば大変なことになります。“家族や友人に伝えなければ”と思う人も少なくないでしょう。そうした心理から、恐怖を煽るようなデマが広がりやすくなります。
  
 もう一つは「希望デマ」です。危機的状況から抜け出す方法は、情報としての価値が高い。周囲に伝えたい心理が働きます。実際、今回のコロナ禍では「お湯を飲むと感染が防げる」といったデマ情報が拡散しました。

●心の免疫力高める宗教に期待 人間の本質再考させるコロナ禍

 ウイルスの感染を防ぐためには、体の免疫力を上げることが有効だとされますが、同様に、不安にさいなまれないためには「心の免疫力」を高めることが大切だといえます。「心の免疫力」が高ければ、多少の不安を抱えたとしても、平静を保つことができます。
  
 では、どのようにして高められるか――。日々の生活が充実しているか、良好な人間関係に恵まれているか、といった「日常の安心感」を持てるかが、大切になってくるでしょう。
  
 人々に「安心感」を提供するという意味で、私は、信仰の果たす役割は大きいと考えています。信仰は、不安や困難に立ち向かうための「心のよりどころ」になります。そうして得られる安心感は、「何とかなるから大丈夫」といった“気休め”とは違う感覚です。
  
 また創価学会のような地域に根差したネットワークの存在は、ソーシャルサポート(社会的支援)の役割も期待できます。悩みを相談できる存在が身近にいること、また自分自身も人のために行動できるという感覚も、「心の免疫力」を高めると思います。

 心理学の研究によれば、「幸福」は特別なぜいたくから生まれるわけではなく、日常生活の「安定」から生まれます。しかし、その安定はいつまでも続くわけではありません。事実、コロナ禍の影響で、私たちの日常は大きく変わりました。経済的困難や心身の不調を経験した人も多いかと思います。


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