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◎帳簿の世界史
●経営学の基礎となった「化学的管理法」とは
テイラーの生産管理方式は、さまざまな面で大成功を収めた。ベツレイム・スチールで道具や作業の標準化により生産高を大幅に増やして利益をもたらしたことは語り草である。そしてテイラー自信は、アメリカ初の経営コンサルタントとなった。一九一〇年には、鉄道会社の運賃値上げをめぐり、テイラー方式を参照して経営の非効率が指摘されたことから、彼の生産管理は「科学的管理」として一躍有名になる。科学的管理法は経営学の基礎を築いたとも見なされており、ハーバード・ビジネススクールやマッキンゼーのルーツがテイラーの着想にあると言われても、あながちこじつけではあるまい。ちなみにマッキンゼーが創立したジェームズ・O・マッキンゼーは、会計士だった。
●会計を忌避したヒトラー
ヒトラーは合理的な大量清算を推進し、労働者を機械の歯車にしようとするが、会計責任を果たす気は毛頭なかった。大事なのはイデオロギーであって利益ではない、ということだろう。
………一九三六年一月一日をもって会計データの収集を大幅に縮小し、会計係の多くを配置転換した。………戦争それ自体がおぞましい清算の日を迎えるまで、軍の論理が西遊せんされた。
●会計士は公平なレフリーか
しかもアメリカ人は会計士に「剥(む)ぎ出しの事実」を語ってもらいたいのではなく、事業経営についてのアドバイスを求めている。ディッキンソンに言わせれば、計算を本業とする会計士にとって、そのようなことは守備範囲外だった。
むき出し
読み方:むきだし
内部のものが外側に露出していること、または、感情や考えをあからさまに言葉や態度に表すこと。