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0186〜0237 開目抄 0202:01〜0203:09
第27章 経文一一に符合するを明かす
摩耶経
詳しくは、摩訶摩耶経とも仏昇忉利天為母説法経ともいう。斉の曇景訳。二巻。仏が母の摩耶夫人の恩を奉ずるために、忉利天に四月十五日に昇り七月十五日に帰るまでの九十日間に説法し、初果の益を得させた。この経には貧者の一灯の教えがある。すなわち願って多くの財を布施しても信心が弱くては仏に成ることはできないが、たとえ貧しくても信心が強く志が深ければ、仏に成ることは疑いないということである。のちに、仏が入滅したことを聞いた摩耶夫人は急ぎ忉利天より下り、涅槃の場にかけつけ仏の鉢と錫杖とを抱いて泣いた。そのとき、仏は大神通力をもって金棺の蓋をあけ、身を起して毛孔から千百の光明を放ち、一一の光明中に千百の化仏を現じて、母子が相いまみえた。仏は母のために世の無常の理を説き、説き終って再び棺の蓋を閉じたと説かれている。後半では、釈尊滅後千五百年までの法を広める人の出世年代・事跡などが記されている。竜樹の出現する年数について、本抄では「我が滅後・六百年に竜樹菩薩という人・南天竺に出ずべし」とされ、摩耶経の原文「七百歳已。有一比丘名曰龍樹」とは異なる。これは、流罪中の経典の乏しい状況下で執筆されたからであると考えられる。一方、身延で執筆された報恩抄では「正く摩耶経には六百年に馬鳴出で七百年に竜樹出でんと説かれて候」と、経文どおりの記述がなされている。