Contents
RSS 2.0

ブログ blog page

2020.9.2-4

2020年09月01日 (火) 23:09
2020.9.2-4

???

【十選】描かれたアジア(2)A・シュヴァインベルガー、N・プファッフ「ココ・ド・メールの杯」
美術史家 幸福輝
日本経済新聞 朝刊 文化(42ページ)
2020/9/1 2:00

 ヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路発見以降、ヨーロッパには異国の珍品がもたらされた。そのひとつが「ココ・ド・メール」と呼ばれるセーシェル諸島の双子椰子(やし)の実である。女性臀部(でんぶ)を連想させるその形から繁殖や豊穣(ほうじょう)の力をもつと信じられたココ・ド・メールは、プラハの宮廷で大きな変貌を遂げた。

 ふたりの優れた工芸家により、ココ・ド・メールはその実に浮彫(うきぼり)され、銀(一部鍍金(ときん))の台座に嵌(は)め込まれて、豪華な酒杯に仕立てられた。台座の最上部で海馬に跨(またが)るのは海の神ネプトゥヌスである。これはハプスブルク皇帝であるルドルフ2世が世界に君臨するという寓意(ぐうい)であるが、ココ・ド・メール、つまり、仏語で「海の椰子」と呼ばれるこの不思議な椰子の実の由来から連想されたものでもあろう。


トラックバック

トラックバックURI:

コメント

名前: 

ホームページ:

コメント:

画像認証: