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“ウィズコロナ時代”
政党、議員のあり方とは
会って対話することが一層重要に/一橋大学
中北浩爾教授に聞く
2020/08/24 公明3面
■接触機会減で信頼低下の恐れ
――コロナ禍は政党や議員の活動にどのような変化をもたらしているか。
中北浩爾・一橋大学教授 夏祭りといった地域のイベントや後援会の会合などが中止され、有権者と触れ合う機会が激減している。政治は有権者との「接触」を前提とする世界だ。議員が有権者と直接会って対話し、自身の人柄や考えを有権者に理解してもらうことが、信頼関係の醸成につながる。接触機会の減少は政治への信頼感の低下を招きかねない。
また、後援会や支持組織の求心力にもマイナスの影響を及ぼす。労働組合や自治会に代表される中間団体は、世界的に見てもコロナ禍前より弱体化してきていた。それが、既成政党や中間団体を介さない「中抜き」政治を生み出し、ポピュリズム(大衆迎合主義)がまん延する背景にある。
コロナ禍により、そうした現象が日本でも顕在化する可能性がある。選挙投票率の低下や“風”任せの政治の傾向も強まり、政治不信がますます高まるかもしれない。民主主義にとって危機的だ。
――公明党はコロナ禍の影響調査などを積極的に行い、「声を聴く」運動に全力を挙げている。
中北 コロナ禍のような“非常事態”では、官邸が力技で素早く対策を講じなければならない局面もある。ただし、国民の声を聴く機能が弱いと、「迅速」ではなく「稚拙」な決定に陥る危険性がある。国民の声を聴き、中身を精査した上で政策に反映する方が、「急がば回れ」で、よい決定になるのではないか。非接触が求められる社会だからこそ、国民の声を聴く機能が一層重要になる。
この点、公明党はコロナ対策で国民の声を聴きながら機動的に動いていると感じる。1人一律10万円の「特別定額給付金」の実現は、その代表的な例であろう。
――SNS(会員制交流サイト)の普及など声を聴く手段も多様化している。
中北 それでも、会って対話するといった接触型の重要性は忘れないでほしい。これ以上に有権者からの信頼を得られる方法は見当たらないからだ。政治は、国民の声の総和でやればいいわけではない。国民にとって厳しい判断をせざるを得ない時もある。だから、政党や議員に対する信頼感がないと政治は機能しない。それを踏まえた上で、電話やSNSなどのツールを積極的に活用してほしい。
一方で、議員や党員、支持者らが最新の情報を共有できる機関紙の利点も、コロナ禍を機に改めて明らかになった。公明党のように機関紙を毎日発行できる組織は、そう多くない。非接触が求められる中で、組織の結束力の維持に効果を発揮している。