未来に輝く知性の宝冠――池田先生の名誉学術称号45周年
ブラジル リオデジャネイロ連邦大学
全ての人に教育の機会を
ブラジルのリオデジャネイロ連邦大学から、池田大作先生に「名誉博士号」が授与されたのは、1993年の2月11日。
恩師・戸田城聖先生の、生誕93周年の日だった。
謝辞に立った先生は語った。「民衆と共に進みゆかれる貴大学からいただいた尊き称号を、私は最大の誉れとし、わが恩師にささげたい」
「私のなすべきことは、恩師に代わって、『世界の平和』と『人類の幸福』のために戦い、生き抜き、この世の使命を果たしゆくことと思っている」
「私の胸のなかに、先生は今も生き続けている。とともに、同志の心のなかにも、先生が永遠に生き続けることを念じてやまない」
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ブラジルでは16世紀前半の植民地化以降、一部の指導者階級らを対象とする、宗教教育や知的エリートの養成に重きが置かれ、国民が教育を受ける機会は限られていた。人口の大半が集中する農村部では、読み書きを学ぶことすら、ままならなかった。
同国で長年、国民の識字率が低迷したゆえんは、こうした歴史にあると指摘されている。
だが一方で、先住民、植民者、奴隷として連れてこられたアフリカ系住民ら、多様な民族が共に暮らす中で育まれた、差別や偏見のない「人種デモクラシー」とたたえられる風土も、ブラジルが誇る精神史にほかならない。
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本年で創立100周年。大学のモットーは“開かれた大学”“壁のない大学”である。「大学は、大学に行けなかった人のためにある」との先生の信条とも、深く響き合う。
●言葉を武器に戦いましょう 私たちの献身が明日を開く
南米最高の知性の殿堂である「ブラジル文学アカデミー」のアタイデ総裁は、同大学の卒業生の一人。
若くして新聞記者となり、30、40年代、独裁政権を真っ向から批判する正義のペンを振るった。3度の投獄、3年間の国外追放にも耐え、言論闘争を貫いた人権の獅子である。48年にはブラジル代表として、国連での「世界人権宣言」の起草にも尽力した。
59年、ブラジル文学アカデミーの総裁に就任。文豪トルストイらが名を連ねる同アカデミーの「在外会員」の選考は、現会員の推薦によって行われる。就任以来、総裁が初めて推薦したのが池田先生だった。
93年2月9日、総裁は94歳の身を押して、リオの空港で先生を歓迎した。11日には、母校から先生への「名誉博士号」の授与式にも出席。そして翌12日、東洋人初となるブラジル文学アカデミーの「在外会員」に先生を迎えたのである。
12日の会見で、総裁は言った。「崇高なる『言葉』を最大の武器として、戦いましょう」と。
「信じ合える、また忘れ得ぬ“戦う同志”として私が希望することは、私たちのこの“熱烈なる献身”が、明日という日を開き、来るべきその日を、すべての老若男女の“平等のための行進”の決定的な“救世の日”とすることであります」
サンパウロ市に立つブラジル創価学園「小学校の部」の授業。同市は質の高い教育内容を評価し、「優秀校」と推奨している
「私は一人の仏教者として、人類の幸福のために生涯を捧げた、戸田会長の弟子としての使命の道を、アタイデ総裁とともに歩んでいきたいと願ってきた」
●アマラウ教授の声
我々(西洋人)の中にも現状のままで良いと考えている人もいます。また、誰かが新たな行動をとるのを待っている人、まだ新しい道を歩き出すことができると信じている人がいます。そして、この最後の人々が、本日の池田先生との出会いを喜んでいる人々です。(中略)