◎ドン・キホーテ
2014-06-19 (Thu) 13:52
第18章
ドン・キホーテ主従のやりとり。
次いで、冒険中の冒険あれこれ。
目の前がまっ暗になって、もういやだ、と見切りをつける気になった。あんな殿様は棄てて村へ帰ろう、これまで勤めた分の給料もいらない。インスラを統治させてくれる約束もどうでもいい。
「よいか、さんちょ、人並以上のことをしなければ、人並以上にはなれん。このところ続いた時化(しけ)は、何のことはない、待てば程なく海路に日和のくる嵐、順風満帆の前触れのようなものだ。物事は、いつまでも順調にいくこともなければ、いつまでも悪いわけでもない。それにしても、おまえが嘆くことはない、拙者の身には数々の災難が降りかかったが、おまえに類は及ばない」
「及ばない、ですって、よくおっしゃる」とサンチョが反発した。
第19章
サンチョと殿様の愉快な会話。
加えて、屍との遭遇。
さらに、驚くべき出来事あれこれ。
「またの名を窶(やつ)れ顔の騎士」
「窶れ顔は、金銭や時間をかけて描かせるにはおよびません。人前で顔を覆わず、ペロッと見せるだけで、立派に窶れ顔です。盾の図や絵がなくても、本物を見れば、あら、窶れ顔の騎士様、と人は呼びます。本当にそんなお顔ですよ、天地神明に誓ってもよろしいです。冗談じゃなくて、ほんと。飢え死に寸前の上に歯が無くって、まったく情けないお顔です。わざわざ絵にしなくても、窶れようは一目瞭然です」