第1章 序
国民党の
宣伝を
信じてたのね。
この農民たちを
以前にもまして
働かせば、
損をした分くらい
すぐに
取りかえせます
からな。
この中に
赤匪に
参加した者の
家族がいる
はずだ!
第2章 鮮血の大地
よく
まわりを
見なさい。
これが最後の
たのみと思って
聞いてもらい
てえだが、
もし いやで
なかったら、
口づけを
さしてくれ
ねえだか。
しかも、
これだけの犠牲を
払って
前途には
何もなかった。
党中央の
軍事指導に
兵士の不満が
たかまりだし
たのは、
この時である。
第3章 天険烏江
私たちが
一直線に
進んでいる
からなのよ。
毛沢東ちゅう
人の意見が
通ったらしい
だな。
貴州
「地無三里半 天無三日晴 人無三分銀」
第4章 阿片都市
しまった!
気づかれて
いたか!
お、おら おめえが 大好きだ。
あたしも……
貴州兵には
その阿片常習者もいて
銃のほかに長いキセルを
持って歩くので、
双槍兵(そうそうへい)という
呼び名もあった。
「銃のことを槍といい
阿片用のキセルの
ことを
煙槍(えんそう)という」と。
第5章 偽装集団
よし、
捕虜の
貴州兵の
服をあつめろ。
ほかでもない。
われわれが
その中国
労農紅軍だ。
その場でドラを鳴らし、
民衆に分配した。
そして、
この
五千人の
家族が
その後、
悲劇に
あうのも
また
同じで
あった。
毛沢東は
これを
徹底的に
批判し、組織
の改造を
要求した。
第6章 過去地帯
紅軍は
敵に気づかれぬ
よう、密かに
行動をとり、
滴の背後にまわり、
追撃してきた大軍を
はるか後方に
追いはらった。
西風は烈しく
……
蒼い山は海のようであり
残陽は血のようである
今、紅軍は
人類の歴史を
一万一千年も
さかのぼる
氷河時代の世界に
足をふみいれた
のである。
第7章 炎熱地獄
このままでは
被害者が
出るばかり
だぞ。
我々は
国民党正規軍だ。
県長は
いるか?
毛沢東
「敵がすべて雲南の
将軍のようであれ
ば、中国革命は
とうの昔に
成功しているん
だが……」
中唐の大詩人
白居易
「聞くならく、雲南に
濾水(金沙江)ありて
……
村南村北哭声哀し、
児は爺嬢に別れ、
夫は妻に別る。
……
行きて一の回(かえ)るもの
無しと…………」
◎「長征」岡本隆三
人間生存の極限状態という最悪の条件におかれながら、抗日という国民党の最大の矛盾を巧みにとらえ、これを抗日統一戦線という革命に有利な方向へ転化させた指導者たちの、中国革命に対する自信によるものであろう。