中国・南京理工大学「名誉教授」称号授与式 名誉会長の謝辞
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(中国・南京理工大学から、創価大学創立者の池田名誉会長に「名誉教授」称号が贈られた。長年にわたる日中友好と世界平和への貢献を讃えたもの。授与式は17日午前、江蘇省の省都・南京に立つ南京理工大学の学術交流センターで行われ、同大学の王暁鋒(おう ぎょうほう)学長、王瀚(おう かん)国際交流合作処副処長、趙珂(ちょう か)人事処副処長、趙雪琴(ちょう せつきん)外国語学院院長、張楠(ちょう なん)同学院日本語科主任らが出席。代理の寺西創大副学長に、名誉教授の証書が託された。池田名誉会長は謝辞と真心の漢詩を寄せた。またこの日、南京理工大学に「池田大作思想研究室」が設立され、同研究室の銘板が除幕された。)
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一、本日、私は、大中国の科学技術を誇り高くリードされゆく名門、貴・南京理工大学から、最上の栄誉を賜りました。
「以人為本、厚徳博学」(人をもって本となし、徳厚き博学の人たれ)との高邁(こうまい)なる建学の精神を、深く生命に刻みつつ、貴大学の名誉ある一員とさせていただきます。
王暁鋒学長をはじめ、諸先生方の御厚情に、心より御礼を申し上げます。誠に誠にありがとうございました。
王者の風格の大河・長江と共に、悠久の歴史の絵巻を綴(つづ)ってこられた佳麗なる古都・南京を、高名な歴史学者の朱偰(しゅ せつ)先生は讃えられました。
――文学は盛んに人物も優れ、山河は秀麗にして気象も雄壮偉大なり。しかも民族と難儀を共にし、喜びと憂いを分かち合う親しさにおいて、第一の都なり、と。
この天下一なる人材の都・南京において、仰ぎ見る英知と人格の指導者を育成し続けてこられたのが、人間王者の最高学府たる貴大学であります。
産学連携を推進して、地域の経済発展に寄与されるとともに、大中国の工業化、情報化を力強く牽引(けんいん)されてきた足跡も、誠に有名であります。
貴大学は、昨年、創立60周年の佳節を飾られ、更に堂々たる飛躍を遂げておられます。
王学長はじめ諸先生方、また麗しき同窓の方々の偉大な御尽力に、私たちは、心より尊敬と賞讃の大拍手を送らせていただきたいのであります。
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一、36年前(1978年)の秋、南京に第一歩をしるした折、各界の皆様方に、ひときわ冴えわたる月天子と共に熱烈歓迎していただいたことが、昨日のように思い起こされます。
天も、地も、人の心も美しき、世界に燦(さん)たる、この民衆の宝土を、日本軍の蛮行がどれほど蹂躙(じゅうりん)してしまったことか。
私たちは、雨花台(うかだい)の烈士陵園を訪れ、新中国建設のために命を賭して戦われた先人方、そして、日中戦争の犠牲となられた数多くの方々に、懇(ねんご)ろに追善の祈りを捧げさせていただきました。
わが創価教育は、日本を暴走させた国家主義、軍国主義の教育に真っ向から対峙(たいじ)して、「人間主義」「平和主義」の価値を想像する教育を貫き通してまいりました。
創始者である牧口常三郎先生と戸田城聖先生の師弟は、軍部政府に投獄され、牧口先生は獄死しております。
生きて出獄した戸田先生と共に、私たち弟子は、生命尊厳を信念とする若き世界市民を育成し、平和と文化と教育の連帯を広げゆくことこそ、残酷な戦争の悲劇を転換する王道なりと定めて、数多(あまた)の圧迫を恐れずに、行動を重ねてまいりました。
貴国の皆様方と共々に、留学生の往来をはじめ、両国の青年交流の「金の橋」を、大きく築くことができました。
この橋は、いかなる時代の激流にも断じて揺らぐことはないと確信しております。
貴大学は、幅広く世界の大学と教育交流を推進され、多くの国々から留学生を受け入れ、極めて国際性豊かな総合大学として大発展を続けておられます。
その意味におきまして、私は、貴大学から賜りました栄誉を、わが創価大学、アメリカ創価大学、創価学園の学生・生徒、教職員、卒業生一同と共々に拝受させていただき、この尊き友情を次の世代へ脈々と受け継いでいきたいと思っております。
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一、南京訪問の折に、私たちは、人民の力で築き上げられた長江大橋を見学し、さらに、敬愛してやまぬ周恩来総理が建国前の激動期に奮闘された梅園新村記念館にも案内していただきました。
そして、厳粛な佇(たたず)まいの中山陵(ちゅうざんりょう)を訪れ、中国革命の父・孫文先生のお心を偲(しの)んだのであります。
孫文先生は、力強く訴えられました。
「世界の事業は、どうしても、まず、事をはじめる人間を必要とし、そのあと多くの賛成者を必要とし、さらにそのあと多数の実行者を必要とし、そうしてこそ成功をおさめることができます」(山口一郎訳 『孫文選集』 第1巻、社会思想社)と。
孫文先生の魂魄(こんぱく)が留(とど)められた、ここ南京の地で、貴大学は、先生の叫びのままに、教育の真髄の力によって、壮大なる長江の流れの如く、滔々(とうとう)たる人材の潮流を創り広げてこられました。
この夏、若者のスポーツの祭典であるユースオリンピックが、南京で盛大に行われました。
「青春を分かち合い、共に未来を築こう!」をスローガンに掲げた大会において、貴大学の学生たちが、幾多のボランティアとして溌剌(はつらつ)と活躍されたことは、実に清々(すがすが)しい青春の劇であります。
貴大学が、有為な逸材を社会に送り出し、中国屈指の就職率を誇っていることも、よく存じ上げております。
貴大学の大前進を、青年をこよなく愛された孫文先生も、周恩来総理も、さぞかし会心の笑顔で見守られているに違いありません。
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一、英明なリーダーシップを発揮される王学長は、学生たちに対して、期待を込めて、温かく呼び掛けておられます。
――天高く聳(そび)える大樹の如く、順境と逆境とを問わず、栄誉と恥辱に動ぜず、力強い姿を保ち、頭の天辺の真っ青な空と白い雲を黙々と注視することができるようになるのだ。
そして、艶(つや)を競って咲き誇る二月蘭の如く、チャンスとチャレンジとを問わず、いつもと変わらぬ優雅な態度を保ち、足元の肥沃な大地に深く根を下ろすことができるようになろう――と。
何と素晴らしき青春の指針でありましょうか。
今、世界はますます烈風の吹き荒れる乱世であるからこそ、教育の拡充と深化と交流によって、私たちは、若き生命に、何ものにも負けない勇気を薫発してまいりたい。
そして、いかなる危機をも打開する智慧を磨き、あらゆる差異を乗り越えていく友誼(ゆうぎ)の心を育んでいきたいと思うのであります。
青年の熱と力こそが、地球文明の新たな創造をもたらします。
青年の熱と力こそが、人類の未来の勝利を開きます。
青年の熱と力こそが、世界の平和と共生を広げます。
貴大学の校歌は、高らかに謳(うた)い上げております。
「知識の海洋を逍遥し
天地寰宇(かんう=天下)を探索する
我らは神聖なる使命を担いつつ
素晴らしき明日を創造する」と。
本日より、貴大学の皆様方と御一緒に、私たちも、中国と日本、さらにアジア、そして全世界の「素晴らしき明日」の創造へ、勇躍邁進(まいしん)していくことをお約束申し上げ、謝辞とさせていただきます。
謝謝(シェシェ)!(中国語で「ありがとうございました!」)
−2014年10月24日付聖教新聞より−