審査請求人が、同一の中古建物について、当初は耐用年数に法定耐用年数を用いていたが、途中から使用可能期間の年数を見積もって耐用年数を算出したことについて、原処分庁が減価償却費の償却限度額の計算の基礎となる耐用年数に誤りがあるとして更正処分等を行ったのに対し、請求人が原処分庁の認定には誤りがあるとして処分の取り消しを求めていた事案で、国税不服審判所は請求人の主張を退ける裁決を下した。
【原処分庁の主張】
減価償却資産の耐用年数は、原則として法定耐用年数によることとされているが、中古資産は見積法等を適用して算定することができる。ただ、見積法等を適用して算定できるのは、中古資産を取得して法人の事業の用に供した日の属する事業年度に限られる。このことは耐用年数省令3条の規定上明らか。
【請求人の主張】
23年3月期以前の中古建物の耐用年数について法定耐用年数を適用していた誤りに気付いたので、24年3月期の確定申告で見積法により実態に即した耐用年数を算定し、適用したのだから認められるべき。
【審判所の判断】
見積法等はあくまでも法定耐用年数の特則である。そして、いつでも変更が可能であるとすると利益調整等のために納税者によって恣意的に変更される可能性があることを併せて考えると、見積法等の適用を望む法人は、中古資産を事業の用に供した最初の事業年度に自らその意思を表示し、その適用を受けることを要する。その意思を表示しなかった場合には、原則通り法定耐用年数が適用され、事後的に変更することは許されない。
(平成25年12月17日裁決 http://www.kfs.go.jp/service/JP/93/09/index.html)