「父は、私たちの生活が困らないように、私名義の預金通帳にたくさんのお金を残してくれていました。このような通帳があったなんて全く知りませんでした」
『このお金は将来のために私が預かっておく!』
民法第549条において「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」と規定しています。つまり、生前贈与とは「あげます」と「もらいます」の合意があって、初めて成立する行為といえます。
まず一つ目は、贈与の証拠を残しておくことです。具体的には、贈与契約書の作成や、贈与税の申告をしっかりと行うことです。贈与契約書には、贈与をした日付を記載し、あげた側、もらった側の両者の連名で署名押印するようにすれば、「あげました」「もらいました」の意思の合致があったことを証明できます。
そして二つ目は、通帳や印鑑は、もらった人が管理するようにしましょう。よくお客様から「そうはいっても、まだ働き盛りの子供に毎年何百万も渡してしまうと、働く意欲をさげたり、親をあてにするのではないかと心配です」という声を聞きます。
しかしながら、生前贈与とは、本来、財産の所有権をすべて引き継がせることを意味しますので、生前贈与をする際は、思い切ってお渡しになっていただくことが大切です。
【税のしるべ26.9.15】