領土ナショナリズムの魔力
岡田充著
◎はじめに
「領土をとられてもいいのか」
「それは、ちょっと困るけど……」
この反応こそ、メーン・テーマの「領土ナショナリズムの魔力」である。
反射ゲーム
地球が小さくなり隣国との相互依存関係が深まれば、国家主権だけが百数十年前と同じ絶対性を維持することはできない。
境界を越えて文化と人がつながり、共有された意識が広がると、偏狭な国家主権は溶かされていく。
あの知事をはじめ、各国のリーダーが国家主権の旗を振る姿にドンキホーテを見る滑稽さを感じるのはそのためであろう。
多くの人はその滑稽さに気づいてはいるが、「魔力」からは自由ではない。
国家主権を相対化する想像力こそが、「魔力」から自由になるカギである。
第一章 最悪の日中関係
閉塞感に覆われた時代に「敵対型ナショナリズム」で突破口を開く
竹島上陸は「石原効果」である。よく見ればその勇ましさは「強さ」の象徴ではなく、「弱さ」の表れであることがわかる。
李の場合、政権末期でレームダック化…実兄の逮捕…
石原は、…「停滞と弱さ」をバネにナショナリズムを煽り、体制批判を強める。
「弱さ」「内部矛盾」を外部に転嫁…二人には共通点
中国マスコミが憤激を煽り、反日行動を促す