◎高度成長期にさようなら
これからは労働力が年平均約526万人ずつ増加することになる。
これらの労働力の雇用問題を解決するには、経済成長率が平均6.1%以上であることが必要。
やはり対外貿易競争力の低下という課題に直面する。
既定の対外貿易の成長率目標を達成するには、貿易黒字と経常収支の黒字を維持すると同時に、サービス貿易の赤字を容認して中国経済の供給面の改善を進めることが必要だ。また中国は新たな国際競争力を育成する必要があり、そのために開放型の新しい経済体制を構築することが必要だという。
◎中日の経済協力が世界経済を刺激
宋氏は、「中日の2013年の投資額・貿易額は共に減少したが、中日の民間の経済界は依然として良好な関係を維持している。中国経済が今後も高い成長率を維持し、市場規模が拡大を続け、産業の開放が進み、経営環境が改善を続ければ、日本企業は対中投資を増やすだろう」と述べた。
清華大学現代国際関係研究院副院長の劉江永氏は、「日本の対中投資の減少は、新規投資の減少であり、残高は減少していない。日本企業が中国から全面撤退するとは考えにくい。中国のインフラと人材の素養は競争力を持ち、日本企業にとって依然として魅力的だ」と分析した。
清華大学中国・世界経済研究センター教授の袁綱明氏は、「中日経済・貿易関係は世界で最も重要な経済・貿易関係の一つであり、両国経済は高い相互補完性を持つ。この相互補完は、依然として高い潜在力を持っている。日本の消費者はコストパフォーマンスの高い中国製品、例えば衣料品などを好む。日本の家電、自動車、精密機器などの企業も、中国を主要な海外市場としている」と語った。
宋氏は、「中国は長年に渡り日本にとって最大の貿易パートナーとなっている。両国は現在、各自の経済構造調整の時期にある。両国は今後、グリーン経済、高齢者産業、中小企業、現代農業、技術貿易などで協力を推進し、両国の経済・貿易協力のモデルチェンジ・アップグレードを促すことができる」と話した。
宋氏はまた、「日本の対中投資は設備投資が中心で、技術移転では保守的だ。ゆえに日本の対中輸出の潜在力は、まだ完全には引き出されていない。日本企業と日本の対中投資は、中国の経済構造調整の中で重要な作用を発揮できる」と指摘した。
元在大阪総領事の王泰平氏は、「中日は金融協力、環境保護・省エネなどで幅広い協力の可能性を残している。中日韓自由貿易区の協議が影響を受けずに推進されれば、双方、アジア、世界の経済に積極的な影響をもたらす。日本の経済界の関係者は、両国の経済・貿易関係の安定と発展の維持を切に願っており、中国側と一致している。昨年下半期より、中日の経済・貿易界の交流が活発になり始めた。この良い流れは今後も維持するべきだ」と述べた。
宋氏は、「世界2位・3位の経済体である中日が、経済・貿易協力の水準を高めていけば、両国の企業と国民に利益をもたらすほか、世界経済の成長が緩慢に進む中、アジア・世界経済に大きな希望と自信をもたらす」と期待した。
宋氏は、「中国の新たな改革開放のシンボルである、新設された上海自由貿易区は現在、体制・メカニズムの革新に取り組んでおり、外資系企業の対中投資の利便性を高めることになる。中国はサービス貿易の開放を進めていくが、日本はこの分野で高い競争力を持つ。日本企業はサービス業を今後の中国市場開拓の重要な立脚点とするべきだ。例えば日本が長年に渡り小売業・流通業で形成した、成熟した経営モデルは、中国のサービス業に経験と参考を提供できる」と提案した。
袁氏も、「日本企業は中国経済のモデルチェンジ・アップグレードのチャンスをつかみ、中国市場の開拓を進めるべきだ。日本は中国を単なる生産と組み立ての拠点とするのではなく、消費・研究開発の拠点としての役割を重視し、中国への技術移転と資本集約型産業の進出を加速するべきだ」と主張した。
宋氏は、「中国市場の変化は速く、特に欧米・韓国企業が中国で急速に発展している。日本企業が積極的に中国市場を開拓しなければ、その市場シェアが低下し、淘汰される可能性がある」と警鐘を鳴らした。