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PE課税

2014年06月03日 (火) 14:13
PE課税

1.PE課税の実務対策

(1)概要
恒久的施設、PE(Permanent Establishment)は、中国において連続する間に6ヵ月を超える期間存続する「みなし事業所」と言ってよい。
中国にPEがあるとなれば、
「企業所得税」
「増値税(または営業税)」
「個人所得税」
の三税の課税関係が問題となる。

企業所得税は、ほとんどのケースでみなし利益の推計課税が行われている。みなし課税では技術指導料などの対外送金額にPEに帰属する収入とみなして利益率(10%〜40%)を乗じて課税所得を推計し、これに税率(25%)を掛けて税額が算出される。

増値税は、技術性のある役務提供であれば、増値税(外税で6%)、なければ営業税(内税で5%)となる。

個人所得税は、派遣される人員の暦年での中国滞在日数が183日未満であっても、PEが個人所得の一部を負担しているとみなされる。

みなし利益率が適用されるため、派遣者の給与等が日本で全額支払、負担されているにも関わらず、中国のPEが負担するものと認定される

そのため、短期滞在者免税が非適用となり、PEに帰属する派遣者の滞在日数に応じた個人所得税の計算・納税が求められる。

PE課税の問題点は、個人所得税にあることが多い。これは、技術使用料(ロイヤリテイ)に対しては企業所得税(10%)及び増値税(外税6%)の源泉納税が原則である。

技術使用料の送金においても、PEの有無を深く議論せずに、送金の便宜を優先して、同じく企業所得税及び増値税を源泉納税してきた経緯に起因する。

PEの存在判定が保留のまま、二税の納税が先行している一方で、派遣者の個人所得税183日ルールを基準に判断されるため、税務調査の結果PEありとなった場合の影響は、個人所得税に集中することとなる。個人所得税は地方税務局の管轄する税目であるため、PE課税の動向は地方税務局財政状況に左右される。

(2)出向者PE課税の状況
ーー実費を超える超過利益を本社が得ているかどうか

判断の基本は、出向者の経済活動の成果の責任とリスクの所在であり、具体的には出向者の業績評価責任が「出向元か出向先」のいずれにあるかという問題に帰結され、前者であれば出向元(本社等)の中国内“機構”があり、日中間では連続して6ヶ月以上に期間に亘り固定的、持続的な活動が認められれば恒久的施設(PE)を構成することになる。PE認定の判断においては、下記事項を総合的に考慮すべきである。

(1)出向先法人が出向元に“管理費”“服務費”的な対価を支払っている

(2)当該対価が出向元法人が立替払する給与/賞与/社会保険等実費を超える

(3)出向元法人が出向先から受取る対価を派遣者に払わず一部留保している

(4)出向元法人の負担する出向者費用の一部が個人所得税の計算対象外である。

(5)出向元法人が出向者の人数、役職、報酬基準、派遣先を決定している。

“較差補てん給与”は、本社が負担しようが、付替えにより最終的に現地法人が負担しようが、実費である限りはそのことを以てPE認定の判断基準とはされない一方で、「実費を超える超過利益を本社が得ている」のであれば、当該派遣行為は本社による役務提供活動とみてPE認定されうる。

現地法人の独立性に対する当局の確認では、下記の行為及び資料が重点的にチェックされる。

(1)出向元法人、出向先法人及び出向者との間の協議書、契約書

(2)出向元法人或いは出向先法人の出向者に対する管理規定(職責、業務内容、業績評価、責任の所在等)

(3)出向先法人の出向元法人への支払状況及び帳簿処理、出向者の個人所得税納税資料

(4)他の取引との相殺等を通じて出向先法人が実質的に出向者の活動に対する対価を負担していないかの事実

【当局による調査】

(1)書面調査
 (必要資料が揃っていない場合)
 ↓
(2)立入調査
 (出向者の選定や業績評価、管理権限が出向元にあるち判断できる場合が次なるターゲット)

※逆にいえば、当局の求める契約類、規定類が揃っており、その記述が当該規定に準拠したものであるならば、更なる調査に発展する可能性は相応に低くなる。

現時点において本格的、集中的な出向者PE課税調査が行われた地域はまだそれほど多くない。

※本職の役職を兼務する出向者には特に注意が必要である。本社の名刺に本社の役職と現地法人の連絡先が記載されているのでは、本社のPEが現地法人内にあることが明らかである。


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