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ガンジー自立の思想

2014年05月11日 (日) 12:13
ガンジー自立の思想

自分の手で紡ぐ未来
M.K.ガンジー
田端 健[編]
片山佳代子[訳]

自然と同体であることを自覚した者には自他の区別はない。相対的時空観に狂奔し、人類は今、物心ともに崩壊しようとしている。真の平和と正義の旗を振ったマハトマ・ガンジーの再来を望むや切。

◎編者まえがき
イギリスに占領され植民地化されたインドの貧困と奴隷状態の原因は、イギリスの生んだ近代機械文明をよいものだとして受け入れたインド人自身にあるとガンジーは考えた。

第1章 ガンジーの文明論
自分自身のことを悪く言う人にはめったにお目にかかれない

今では丘の上で拳銃を構える男が、一人で何千人もの命を奪うことができます。これが文明です。

以前には夢にも考えられなかった病気が蔓延し、多くの医者がその病気の治療法を研究しています。そのため、病院の数も増えました。これが文明の指標です。

道徳の名にかこつけて不道徳が教えられることがしばしばあるというのが、この二十年間私が経験したことです。

この文明は宗教を否定します。

仮に、私が大麻経験の常習者であるとしましょう。そのために売人が私に大麻を売ってくれたとして、悪いのは売人ですか、それとも私自身でしょうか。

会社は商館を守るために軍隊を雇い、その軍隊を私たちインド人も利用してきたのです。

ナポレオンはイギリスを商人の国と表現したことがあるそうですが、これは的を射た言い方です。彼らは、どの領土であろうと自分たちの商売のために確保しているのです。軍隊はそれを守るためにあります。

第2章 カデイーの誕生
小さな改革もできない者が、大きな改革をなせるわけは決してありません。自分に与えられたものを最大限に利用する者が、自分にできることをさらに増やしていきます。

困難はつきることはありませんでした。

「私がやろうとしているのは少し違います。チャルカの復活をもくろんでいるのです」

第3章 チャルカの思想的
思いを高く持つことは、物に囲まれた複雑な生活とは両立しません。そのような生活は時間に追われるからです。

満足していない人は、たとえどれほど多くの物を所有していても、自分自身の欲望の虜になってしまいます。

自分自身が最良の友となることもありますが、同時に最大の敵になることもあると賢者は言います。自由でいるか、奴隷になり下がるかを決めるのは自分自身です。そして個人についてあてはまることは、社会についてもあてはまります。
持ち物が少なければ少ないほど、所有したいという気持ちも減っていき、より優れた人格の持ち主になることができます。この人格は何のためでしょうか。この世での暮らしを楽しむためではありません。仲間に尽くすことを喜びとするためです。このような奉仕に、身体も心も頭脳も捧げるのです。
人間の体は奉仕をするためだけにあります。快楽に耽るためにでは決してありません。幸福な人生の秘訣は、報いを期待しないことです。報われることを放棄することが人生です。快楽を求める先には破滅が待ち受けています。

理想的状況のもとでは、医師、弁護士、その他専門的職業に従事する人々は、自分の利益のためでなく、社会の利益のためだけに働くようになるでしょう。

ぜいたく品は活力を奪い、魂を損ないます。

自らの意思で従ってこそ、満足と健康を得ることができます。そしてこのような健康こそ本当の意味で財産となるのです。

依存状態には何もできないという無力感が漂っています。

第4章 機械と人間
込み入った議論に入ることはせずとも、大量生産を熱心に推し進めてくたことが世界的危機を招いたのだときっぱりと断言できます。

私は特権と独占を憎む者です。庶民が分かつことができないものは禁止すべきです。

欲望ではなく、純粋に人間のことを考える気持ちが動機でなければなりません。欲望を愛に置き換えてみてください。そうすればすべてがまともになります。

第5章 カデイーの経済学
冨を崇拝することを教え、強者が弱者を犠牲にして富を蓄えることを許す経済学は、偽りの出来の悪い学問です、それは死を招きます。

第6章 スワラージへ向けて
原子爆弾によって真実とアヒンサーに対する信仰を打ち砕かれたでしょうか。それどころか、ますます強く私はアヒンサーこそこの世で最強の力であると確信するに至りました。

真実とアヒンサーの前では、原子爆弾は何の効力も持ち得ません。この二つの力はまったく異なった種類のものです。一方はモラル、精神の力であり、もう一方は物理的な力です。精神の力のほうが物理的力よりもはるかに優れています。といいますのは物にはその必然として終わりがあるからです。精神の力というものは常に前進し、限りがありません、この力を最大限に発揮することができれば、この世で打ち負かせる力など他にありません。さらにこの力はすべての人の中に存在します。男女を問わず、子供にも皮膚の色にも関係なくあるものです。ただ、多くの場合それは眠っています。しかし、思慮深く訓練を積むことによって目を覚まさせることができるのです。

第7章 新しい計画
私がやりたいと思っていることは、最も抑圧された、最も不利な条件にいる人のために働き、彼らと歩調を合わせていくことです。

どのような変更も好ましくないと思われるのであれば、それも結構です。しかし、私には挫折をよしとすることはできません。

暴力を手段として用いる人の家に行けば、その人の客間には虎の毛皮、鹿の角、銃剣類などがあることでしょう、総督の山荘に招かれたことがありますし、ムッソルーニにも会いましたが、どちらの家にも武器が壁にかけてありました。私は暴力の象徴である武器で向かえられたのです。
武器が暴力を象徴するように、チャルカはその対極にあるアヒンサーを象徴しています。

解説ーー田端健
ガンジーの思想のベースにあるものは近代文明批判である。

イギリス産業革命以前は自然の恵みの豊かな東南アジア・アフリカの中でもインドや中国などは世界でも最も豊かな経済と文化を誇った国であった。

アジアは二度にわたる世界戦争の中で常に侵略されている側であったが、日本がアジアで唯一侵略される側でなく侵略する側としてこの戦争に参加したのは、とりもなおさず日本がアジアで唯一近代化・機械化に成功し、綿工業を取り入れることに成功したからにほかならない。

自国民必要以上の物を作り出すことは必然的に他国を搾取し支配することになり必ず「他の国々にとって災いの元となる」

ガンジー「祖国の原料がヨーロッパへ輸出され、そのため我々が高価な物を買わされているということに我慢がなりません」

訳者あとがき
江戸時代に庶民が貧しかったのは、大型機械がなかったからでなく、年貢を搾りとられていたからです。お殿様のいない江戸時代なら案外、心身ともに健康で、本当の意味で豊かな生き方ができるのではないか、ころこそ目指すべき未来像ではないかと思います。


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