六三 宋江、軍をひきいて四寇(しこう)を平らげる
夏(か)に逢って擒(きん)、
鑞(ろう)に遭って執(しゅう)、
潮(ちょう)を聴いて円、
信を見て寂(じゃく)
「おっかあ、お前は虎に喰われたかと思ったら、何だ、ここにいたのか」
「わしは虎になぞ喰われはせんよ」
李逵はうれし泣きに泣き、母親を背負って行こうとしていると、ウオーッと一声、一ぴきの大虎がとびかかって来た。おどろいた李逵は、ニ挺の斧をふりかざし、虎をめがけて投げつけたが、斧はくうを打って、雨香亭(うこうてい)の酒をならべた卓の上にあたり、夢からさめた。みんな腹をかかえて大笑いした。