第5章 破裂する世界
白人が黒人の皇帝の前に出て、頭を垂れるのを見たことも、非常に面白かったですよ。
私の最大の関心は、紀元前5000年の昔、ナイルバレーで繁栄した太古の、高度の文明を築き上げたのは、どのような種類の人間なのかを探り出すことだった。…文明はヨーロッパで始まり、アフリカ人はヨーロッパ人に比する豊かな過去を持たないという、プロパガンダを広める白人たちがいる。その嘘の主張を論破するため、科学的証拠を集めることに、何よりも関心のあるアフリカの思想家たちにとって、これは極めて重要な問題のひとつなのである。
例えば、フランスの国防相がチュニジアとモロッコを回った後で、アルジェリアは平和だと述べた次の日、反乱が起こった。国防相は、反乱は局地的なもので、全国規模ではないと声明を発表した。直ちに、反乱は全国に広がった。革命の時期を選定するには、心理的な好機を考慮に入れるべきである。
戦術上の計画は戦略によって律せられる。
我々の勢力が拡大し、敵の勢力が崩壊することを目標にすべきだ。
革命を始めるのは簡単だが、継続し維持するのは非常に難しい。革命を始める前に状況を徹底的に分析することが、指揮官の義務である。
ええ。エドガー・スノーの『中国の赤い星』。…蒋介石らがどのようにその地域を取り込み締めつけ、革命を押し潰そうとしたか、そして、それに対しどうやって戦ったか。そして、そこまで留まっていたら粉砕されることが明らかになったとき、この壁を突破されることが明らかになったとき、この鉄の壁を突破する決心をし、中国内をまず南下し、それからソビエト連邦との国境まで北上し、そこで攻撃を開始したのです。
そう、長征です。あれは奇跡そのものでしたよ。何度か、まるで魔法のように脱出したのですよ。
第6章 体の鎖
私が現在置かれた状況では、現在に思いをめぐらし、将来がどうなるかを予測するより、過去について考えることの方がずっと骨が折れます。投獄されるまで、頭の中に収容された無限に続く情報の数珠、記憶の力を充分認識したことがありませんでした。
私が多人種共存主義を受け入れたことは、決してありませんでした。私たちの要求は、人種の区分のない社会です。…つまり、我々は多人種主義者ではなく、無人種主義者であると。私たちは、人々が肌の色を基にして考えるのをやめる社会を達成するために闘っているのです。問題は人種ではなく、考え方なのです。
生涯を通じて、私はアフリカの人々の闘争に身を捧げてきました。白人支配に反対して闘い、黒人支配に反対して闘ってきたのです。
これが民衆と組織のためにできる、最後のおつとめだと思うと幸せだった。
しかし、僕たちは死刑判決を受けるものと思っていた。
「どう見ても、死刑判決だろう」
リヴォニア裁判の判決(1964年6月12日)前に走り書きした5項目のメモ。
1)被告人席から供述。
2)述べたことはすべて本気。
3)文明国の標準に基づいた扱いを要求して、この国の多くの愛国者の血が流された。
4)その軍隊は増強中。
5)死ななければならないとしたら、正々堂々と運命に立ち向かう意志を明確にする。
「あなたの人生はこれで終わりです」
よし。